1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10410015
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
井村 彰 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (70223344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥越 けい子 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (60237162)
利光 功 東京工芸大学, 芸術学部, 教授 (00074310)
武藤 三千夫 広島市立大学, 国際学部, 教授 (50015301)
椎原 伸博 玉川大学, 文学部, 講師 (20276679)
井上 明彦 京都市立芸術大学, 美術学部, 助教授 (30232523)
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Keywords | 環境美学 / 都市芸術 / パブリックアート / 景観 / 都市の美術館化 / 公共性 / 美的環境 |
Research Abstract |
研究の最終年度にあたる今年度は、報告書にまとめるべく、初年度に明確になった問題点について、研究分担者それぞれの視点から批判的検討を加え、文献研究とフィールドワークを積極的に行うとともに、研究連絡会議を開いて活発な討議を行った。 初年度において、環境概念のメタ批判を試みるにあたり、都市芸術の諸相を検証した結果、問題として浮上してきたのは、アメニティ空間を追求するパブリックアートの普及などによってもたらされている「都市の美化」や「都市の美術館化」という昨今の状況のネガティヴな側面であった。千葉大の長田謙一氏を研究代表者とする「〈美術〉展示空間の成立・変容」の科研グループとの合同研究会などを通じて明らかになったのは、屋外空間における「都市の美術館化」が美術館という屋内空間の制度化と補完関係にあるということであった。このような状況は、必ずしもわれわれが考える美的文化環境といえるものではなく、モダニズムの芸術観と環境美化政策の安易な結合によるものだということが指摘され、モダニズム芸術理論の相対化によるオルタナティヴなアートの可能性を探るとともに、都市の景観や音環境等の保存や創生のありうべき方向性についても研究した。その結果、都市と芸術との関係に重点においてきたわれわれの環境美学の新たな展開のためには、他の諸領域においても問題となっている公共性概念の検討が不可欠であるという認識に至り、これを今後の課題とすることにした。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 平山敬二: "シラー美学とボイスの思想ー美的国家の構築をめぐってー"慶応義塾大学アートセンター・ブックレット『ヨーゼフ・ボイス』-ハイパーテクストとしての芸術-. 5号. (2000)
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[Publications] 大熊治生: "西田哲学における「道具」「言語」「芸術」-『倫理と生命』を中心に-"『カリスタ(美学・芸術学研究)』東京芸術大学美学研究室. 59-79 (1999)
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[Publications] 大熊治生: "エミール・ラスクの『判断論』と西田幾多郎"倉敷芸術科学大学紀要. 第6号(3月予定). (2000)
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[Publications] 椎原伸博: "開かれたミュージアムについて-エコ・ミュージアムの周辺-"『全人教育』玉川大学. 620号. 34-37 (2000)
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[Publications] 井上明彦(川田都樹子と対談): "作品/展示/批評-美の制度の脱構築"武蔵野美術. No.114. 24-35 (1999)
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[Publications] 井上明彦: "彫刻の中の都市:≪カレーの市民≫とモニュメントの死"『近代国家の文化的アイデンティティとしての芸術』科研報告書 研究代表者:金澤弘. 177-193 (1999)
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[Publications] 鳥越けい子: "「きく」文化を求めて"『教育研究』初等教育研究会. 1173号. 18-21 (1999)
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[Publications] 鳥越けい子: "日本の音風景"『たしかな目』国民センター. No.150-No.161(各1連載). (1999)
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[Publications] 鳥越けい子: "A Strategy for Environmental Conversation, From Awareness to Action"The Royal Swedish Academy of Music. 103-109 (1999)
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[Publications] 鳥越けい子: "サウンドスケープ-その思想と実践-"『振動・音響新技術シンポジウム講演論文集』日本機会学会. 37-40 (1999)
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[Publications] 窪田陽一: "生活空間再編のパラダイム-変容と持続の動的均衡に向けて-"『日本学術会議第2回生活環境設計シンポジウム講演論文・討論集』. 8-12 (1999)
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[Publications] 田尻(鈴木)真理子: "イデオロギー論の隘路-「美のイデオロギー」をめぐって"『武蔵野美術』武蔵野美術大学. No.114. 18-23 (1999)
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[Publications] 田尻(鈴木)真理子: "美術史の亡霊"『InterCommunication』NTT出版. No.32. 148-155 (2000)
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[Publications] 原田葉子: "ドゥルーズにおける感覚と生成"『カリスタ(美学・芸術論研究)』東京芸術大学美学研究室. 第6号. 81-94 (1999)
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[Publications] 利光功(渡辺裕・曽根幸子・宮島久雄と共著): "バウハウスとその周辺II"中央公論美術出版. 146 (1999)
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[Publications] 田尻(鈴木)真理子(藤枝晃雄・谷川渥編著): "『芸術理論の現在-モダニズムから-』担当箇所:「転換点としての美術史の「危機」」(p。301-324)"東信堂. 372 (1999)
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[Publications] 平山敬二(神林恒道編): "『日本の芸術論』担当箇所「柳宗悦の民芸思想とその位置」"ミネルヴァ書房(4月予定). (2000)
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[Publications] 武藤三千夫(神林恒道編): "『日本の芸術論』担当箇所「天心の憂愁-その美意識の無名性-」(p.218-241)"ミネルヴァ書房(4月予定). (2000)