2000 Fiscal Year Annual Research Report
動作(法)体験による心身の活性化とセルフ・コントロール機能に及ぼす効果について
Project/Area Number |
10410035
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大野 博之 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (00037037)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠矢 浩一 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (50242467)
針塚 進 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (50113973)
大神 英裕 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (20020141)
宮田 敬一 新潟大学, 教育人間科学部, 教授 (60115079)
昇地 勝人 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50036901)
|
Keywords | 動作法 / 動作体験モデル / 自己弛緩 / 身体軸 / 心身の活性化 / セルフ・コントロール |
Research Abstract |
障害の改善を主目的とした「動作法」における課題動作の達成過程だけでなく、援助者と被援助者の関係性に基づいて課題を達成する心理プロセスに着目し、その体験に内包されている心身の活性化とセルフ・コントロール機能の問題を検討することを本研究の目的とした。そのために、(1)自己弛緩について、(2)身体運動と呼吸活動について、(3)立位姿勢について、及び(4)イメージと呼吸活動について、を基礎課題として、筋活動や呼吸、足底圧などの指標、姿勢の三次元解析、及び内省などの方法を用いて検討した結果、動作法の体験によって心身が活性化されることが明らかにされた。心身活性化の要因は多様であるが、これらの結果から自己弛緩の要因や身体軸の安定化がその重要な要因であることが示唆された。さらに、援助者と被援助者の関係についても行動科学的視点から密接な関係にあることが示唆されており、心身の活性化をもたらす要因も一つとして位置づけられた。こうした課題動作を介して達成される心身の活性化に加え、もう一つの重要な要因、すなわちセルフ・コントロールの概念が重要であることが指摘された。このことによって体験効果の枠組みが拡がり、障害の程度や有無、あるいは適応と不適応などの枠組みを越えた不自由動作の改善だけでなく、さまざまな障害を有する人たちやハイリスク児、不登校児、神経症者、高齢者などへの適用が有効であることがわかった。このような研究成果に基づいて動作法の体験内容を検討した結果、心身の活性化とセルフ・コントロール機能向上に有用な"動作体験モデル"を提示することができた。
|
-
[Publications] Ohno,H.,Ki,H.,Surendar,K.: "Effect of Dousa experience on body mind activation and self-control function."International Journal of Psychology. Vol.35 Issue314. 15-15 (2000)
-
[Publications] 大野博之: "日本における障害児教育と統合教育"第3回国際特殊教育セミナー「韓・日・米統合教育の現況と課題」. 33-38 (2000)
-
[Publications] 大野博之: "動作法によるリラクセイション"教育と医学. 第47巻第8号. 36-43 (1999)
-
[Publications] 利光恵,大野博之: "自閉症児の相互交渉過程における関与者の関わり行動の分析"九州大学教育学部紀要(教育心理学部門). 第43巻第2号. 245-254 (1999)
-
[Publications] 大野博之: "動作法の原点"東北、北陸心理リハビリテイション研究会会報. 第16巻. 40-49 (1998)
-
[Publications] Harizuka,S.: "Historical overview and prospect about practical usage of psychological Rehabilitation (Dohsa-hou)"Rasearch Bulletin, Kyushu University. Vol.43 No.1・2. 63-70 (1999)
-
[Publications] 大野博之: "成瀬悟策編「実験動作学」"至文堂. 254(19-27) (2000)
-
[Publications] 大神英裕: "成瀬悟策編「実験動作学」"至文堂. 254(28-37) (2000)