1998 Fiscal Year Annual Research Report
外国人労働者の流入に伴う地域社会構造の変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
10410039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小内 透 北海道大学, 教育学部, 助教授 (80177253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小内 純子 札幌学院大学, 社会情報学部, 助教授 (80202000)
酒井 恵真 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (80073493)
冨山 さくら 北海道大学, 教育学部, 助手 (20291990)
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Keywords | 外国人労働者 / 地域社会構造 / 階層分化 |
Research Abstract |
1. 本年は4カ年計画の初年度に当たるため、日系ブラジル人を中心とする外国人が集住する群馬県太由市・大泉町と静岡県浜松市の行政機関を対象として、来年度以降の本調査のための予備調査を行った。具体的には、群馬県太田市・大泉町と静岡県浜松市の人口・産業・教育・福祉等の特質と外国人労働者の動向について聞き取り調査を行った。 2. その結果、群馬県太田市・大泉町でも、静岡県浜松市でも、不況であるにもかかわらず、日系ブラジル人を中心とする外国人労働者は決して減少していないことがわかった。しかも、いずれの地域においても、外国人の間で一定の階層分化が生じ、なかには失業者も生まれるようになっていること、とくに浜松市では、日系ブラジル人のホームレスも現れていることが明らかになった。 3. 群馬県太田市・大泉町、静岡県浜松市のいずれの自治体でも、外国人に対する行政サービスに努力している。しかし、それらの努力によって、しだいに自治体財政が圧迫される傾向が見られるようになっている。とくに、群馬県大泉町の場合、自治体の規模が小さいにもかかわらず、外国人が数多く存在し、その上、外国人に対して手厚い行政サービスを提供しているため、外国人の存在が自治体財政に与える影響には大きいものがあった。 4. なかでも、大泉町の国民健康保険は、加入者のうち約2割が外国人によって占められ、外国人に相対的に年齢の若い者が多いこともあり、出産育児一時金が外国人に偏って支給される事態を生み出している。出産育児一時金の51.5%が外国人に対する支給となっている。その結果、周辺市町村ではもっとも低い水準であった保険料も相次ぐ値上げによって、今では周辺市町村よりも高い水準になっていることがわかった。
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