2000 Fiscal Year Annual Research Report
「大東亜戦争」期における日本植民地・占領地教育の総合的研究
Project/Area Number |
10410075
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Research Institution | DOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
槻木 瑞生 同朋大学, 社会福祉学部, 教授 (30022396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯田 一雄 鈴鹿国際大学, 教授 (20052235)
佐野 通夫 四国学院大学, 文学部, 教授 (20170813)
渡部 宗助 国立教育研究所, 教育政策研究部, 室長 (40034665)
王 智新 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (10265035)
宮脇 弘幸 宮城学院女子短期大学, 教授 (40229901)
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Keywords | 植民地教育 / 占領地教育 / 朝鮮教育 / 台湾教育 / 満州国教育 / 東南アジア教育 / 南方教育 |
Research Abstract |
本研究グループは平成12年11月25日及び26日に同朋大学において本研究の最終報告会を開催し、12月22日より24日まで研究交流のための国際シンポジウムを開催した。ここではそれぞれの分野で数多くのこれまで未開拓の課題が提起され、その結果は研究成果報告書にまとめられている。その中でも上海租界における教育の問題(王智新)や蒙彊における回教の問題(新保敦子)、「拓殖」教育の問題(渡部宗助)などはこれまで全く振り返られることがなかった分野であった。また弘谷多喜夫や小島勝の研究は教育を受けた側から問題を追及しようとするもので、これまでの教育史ではほとんど使われたことのないアプローチであった。藤沢健一のものは教員の実践に焦点を当てたもので植民地教育史研究では行われたことのないものであった。その他満洲朝鮮族の問題(槻木瑞生)や朝鮮教育行政官僚の思想(佐藤広美)が取り上げられただけでなく、植民地教育をカリキュラムから見直した磯田一雄の論稿、ビルマの問題を取り上げた宮脇弘幸の論稿などに見られるように内容、視点、方法において新しい分野が開拓された。 これまで植民地教育史研究は組織だって行われてこなかったし、研究の全体を見通した。視点もなかった。そのために重要な研究が忘れ去られることがしばしばであった。われわれは総力を挙げて植民地教育史研究文献目録を作成し、戦後どこまで明らかにできたのか全体像をつかむ努力をした。報告書に掲げられた目録は十分なものとは言えないまでも、植民地教育史研究に関し戦後初めて作られた目録であり、その意義は大きいと考える。 ここで研究が終了するものではないが、日本植民地教育史の全体を見渡しながら研究の新しい一歩を踏み出したという意味で本研究は大きな意味を持っている。
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[Publications] 槻木瑞生: "満州における公学堂の位置付け-四平街公学堂を中心に-"同朋福祉(人間福祉編)同朋大学. 第6号. 7-21 (2000)
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[Publications] 佐野通夫: "朝鮮一九二〇年代の教育と文化"クラルテ運動と「種蒔く人」お茶の水書房. (2000)
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[Publications] 佐藤広美: "戦争責任を今考えることの意味"月刊社会教育. 1月号. (2000)
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[Publications] 藤沢健一: "植民地教育史認識における客観性"批判植民地教育史認識 社会評論社. 48-64 (2000)
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[Publications] 磯田一雄: "東アジアにおける異文化間教育の可能性-日本の植民地教育の示唆するもの-"成城学園教育研究所年報. 22集. (2000)
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[Publications] 弘谷多喜夫: "歴史認識と研究方法-植民地教育史とかかわって-"植民地教育史年報 皓旻社. (2000)
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[Publications] 渡部宗助 他: "教育における民族的相剋-日本植民地教育史論I"東方書店. 262 (2000)
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[Publications] 磯田一雄,槻木瑞生 他: "在満日本人用教科書集成 全10巻"柏書房. 3670 (2000)