1998 Fiscal Year Annual Research Report
個をめぐるミクロ人類学確立に向けての基礎研究:対象・研究者・パラダイムの連関的考察
Project/Area Number |
10410078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 雅一 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (00188335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 素二 京都大学, 文学研究科, 助教授 (50173852)
保坂 実千代 京都大学, アジア・アフリカ地域研究科, 助手 (90293935)
菅原 和孝 京都大学, 総合人間学部, 教授 (80133685)
北垣 徹 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (50283669)
上野 成利 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (10252511)
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Keywords | 理論 / 感情 / 主体 / エージェンシー / ジェンダー / 性 / フィールドワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、対象・研究者・パラダイム(理論的枠組み)の3領域について、各領域の問題を明らかにし、また各領域を有機的に関連づけることで、ミクロ人類学の確立のための基礎的研究を進めることである。人類学は、本来得意なはずのミクロな次元やそこでの変化を扱うのに有効な方法を発達させてこなかった。事例研究を通してミクロ人類学が何を対象(主題化)とし、いかに分析するのかを(方法論)探究する。その際、ミクロな次元でいかに文化・社会が生成・再生産しているのか、それにたいして抵抗や創造性がいかなる形で発現するのかを問う。とくに着目するのは当該社会のヒト観、その変化、セルフ、ジェンダー、セクシュアリテイに関わるアイデンティティ、感情表現や身体論などである。 初年度は例会の開催とデータベースの構築を中心に活動を行った。一回の例会に二人の報告者を配し、分担者のほかに、研究協力者も報告をおこなった。本研究の研究分野は、対象、研究者、パラダイムの3つに大きく分かれるが、年次での区別を厳密には行わず、各自が3分野から関心のあるテーマを選んで報告することにしていた。だが、初年度はジェンダー、エージェンシー、主体や抵抗などのトピックに絞られ、結果として共通のトピックに関する議論を持続的に行うことができた。こうした議論の総仕上げとして年度末には2日間にわたってワークショップを開催した。ワークショップでの成果の一部は次年度に刊行予定の論文集にまとめられる。本研究のもう一つの柱であるミクロ人類学に関する文献データベース構築は論文に限って順調に進んでおり、一部(およそ2000件)は今年度に公開した。書物の方はデータベース化に至っていないが、初年度に集中的に購入することができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 窪田幸子: "「ヨロンゴ女性の可能性-オーストラリア北部アーネムランドに女性起業家はあらわれるのか」" 『社会変容と女性-ジェンダーの文化人類学』ナカニシヤ出版. 123-149 (1999)
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[Publications] 菅原和孝: "Ecology and Communication in Egalitarian Societies" Japanese Review of Cultural Anthropology. 1. 97-129 (1998)
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[Publications] 田中雅一: "「越境するスリランカのタミル人」" 『立命館言語文化研究』. 10・2. 19-31 (1998)
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[Publications] 菅原和孝: "『語る身体の民族誌』" 京都大学学術出版会, 360 (1998)
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[Publications] 菅原和孝: "『会話の人類学』" 京都大学学術出版会, 367 (1998)