2001 Fiscal Year Annual Research Report
電子テクスト・アーカイヴの構築とその文化研究への応用
Project/Area Number |
10410102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 英夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90109215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹治 愛 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90133686)
山本 史郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00145765)
高村 忠明 武藏大学, 人文学部, 教授 (10092256)
中和 彩子 法政大学, 第一教養学部, 講師 (20292716)
廣田 篤彦 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (40292718)
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Keywords | 電子テクスト・アーカイヴ / 文化研究 / ルネサンス / ヴィクトリア朝 |
Research Abstract |
本研究は、エリザベス朝とヴィクトリア朝という、イギリスが文化的に豊かであったふたつの時代にかぎって、たんに多数のテクストを収容するだけでなく、可能なかぎり文学・歴史・思想などのさまざまな分野を網羅するという意味で学際的でもある電子テクスト・アーカイヴを構築すること、およびその電子テクスト・アーカイヴを用いることによって具体的な文学・文化研究、あるいは文化の権力分析の実践的方法論を模索することを目的としていた。 その結果、両時代を合わせれば、おそらく数千にのぼるテクストからなる学際的な電子テクスト・アーカイヴを立ち上げることができた。多数のテクストが著者名のアルファベット単位で整理され、MOならびにハードディスク上に一括して保存されているそのアーカイヴは、作品単位、作家単位、時代単位のいずれのレベルでも、キーワード、キーフレーズ検索が可能であり、今後のさまざまな研究に利用可能である。 本研究の最終年度となった本年は、前年度にひきつづきテクストの収集をはかりながら(『タイムズ』の見出しインデックスを購入できたことはヴィクトリア朝文化研究にとって大きな意味をもっていた)、それぞれのメンバーがそれぞれ担当の主題で文学・文化研究の論文を書き上げ、そのうえでそれを研究会に持ち寄り合評するかたちで研究の共有化および深化をはかった。それらの論文は、最終報告書に見られるとおり、テクストの集合としてのインターテクストのなかにそれぞれの時代を特徴づけるキーワード、キーフレーズを発見し、そこからそれぞれの時代のイデオロギーの総体としての文化の方向性を定義づけようとしたもので、近年の新歴史主義的・文化研究的文学研究の実践例となっている思う。
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[Publications] 丹治 愛: "同性愛小説としての『ダロウェイ夫人』"ダロウェイ婦人(ICGミューズ出版). 222-225 (2001)
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[Publications] 鈴木 英夫: "ルネサンス期のsong研究の方法論を求めて-メロポイエーシスの可能性を探る"創発的言語態(東京大学出版会). 171-191 (2001)
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[Publications] 丹治 愛: "テクストの電子化とテクスト読解の現在"電子テクスト・アーカイヴの構築とその文化への応用(平成10年度〜13年度科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書. 1-26 (2002)
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[Publications] 廣田 篤彦: "歴史記述の虚構-初期近代イングランドにおける歴史と詩"創発的言語態(東京大学出版会). 259-278 (2001)
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[Publications] 中和 彩子: "『ファレサアの浜』の言語体験"法政大学教養学部紀要第119号. (2002)