1999 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータ利用によるロシア文章語成立に関する文献学的研究
Project/Area Number |
10410108
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中條 直樹 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (10023623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 昭裕 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50135498)
神山 孝夫 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (40204630)
山口 巌 鳥取大学, 教育地域科学部, 教授 (60026763)
岡本 崇男 神戸市立外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90169152)
山田 勇 香川大学, 経済学部, 教授 (90036020)
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Keywords | 年代記 / ノヴゴロド / スズダリ / シノド版 / 新輯版 / コンコーダンス / 語彙集 |
Research Abstract |
本研究は、平成10年度から平成12年度にわたる3年間の研究期間において、ロシアにおいて出版された、あるいは再度出版されつつある年代記を資料に用い、ロシア文章語の成立を文献学的に実証しようとするものである。斯様な文献を使用するのは、言語の過去の姿を明らかにすると同時に、これが通時的研究の基礎をなすからである。 『ノヴゴロド第一年代記新輯本』(コミシオン版)については、コンコーダンスを平成11年3月に完成した.。これは先年世に問うた『ノヴゴロド第一年代記』(シノド版)コンコーダンスと対をなすものである。シノド版コンコーダンスに辞書的見出しを採用しなかったのは、その語彙集が研究分担者により1994年に公刊されているからである。そのためコミシオン版コンコーダンス作成に際しても、形式を整える必要もあり、辞書的見出しを敢えて採用することなく、公刊した。しかし、利用者の便をはかり、このデータをもとにWord List と Indexを作成し、平成12年3月に『ノヴゴロド第一年代記新輯本(コミシオン版)』語彙集として刊行した.これにより、コンコーダンス作成に用いたテキストА.Н.Насонов《Новгоропская первая петопись старшего и мпадшего иэвода》(Иэд АН СССР М-Л1950)ついては、コンコーダンスが完備したことになる。 今年度は引き続き『スズダリ年代記』(ラヴレンチー版)-Полное собрание русских летопиесй. Том1. Вып. 2Иэд АН СССР Л1972-の入力を行った。このテキストは、《A Concordance to RUSSIAN PRIMARY CHRONICLE I-II》と同じであるが、特殊な文字のフォントが完成したことにより、翻字により入力ということなく、直接的に古代ロシア語による入力が可能となった。それは『スズダリ年代記』については、スキャナーによる読み取りが不可能であることが昨年度の段階において判明していたからである.しかしながらそれと同時に人間による入力ということもあり、ミス入力が散見し、徹底した校正作業を行い、データの完璧性をもとめた。得られたデータをOCR ソフトを利用することにより、平成12年度中に、『スズダリ年代記』コンコーダンスとして刊行する準備も着手した。 ロシア文章語の成立とその後の発展については、民衆語の果たした役割の重要性が指摘されており、それが発展していた中世ノヴゴロドの年代記から作成されたコンコーダンス2点、及び『ロシア原初年代記』(ラヴレンチー版)更に平成12年度に完成予定の『スズダリ年代記』(ラヴレンチー版)のコンコーダンスの成果を利用することによって、古代ロシア文章語とロシア民衆語の関連を調査・分析する。
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[Publications] 中條 直樹: "レールモントフにおけるウクライナのテーマ"言語文化論集. 21・2. 141-153 (2000)
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[Publications] 佐藤 昭裕: "Struktura tekstu kroniki staroruskiej Powiesc minioych lati geneza staroruskiego iezyka literackiego"Wydawnictwo Naukowe UAM. 235-248 (1999)
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[Publications] 石田 修一: "活格構造言語の類型学"エクス・オリエンテ. 1. 245-263 (1999)
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[Publications] 神山 孝夫: "ステップから大洋へ-印欧語と『印欧人』"大阪外国語大学論集. 21. 13-37 (1999)
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[Publications] 岡本 崇男: "16-17世紀南西ルシ文章語における動詞過去形の規範について"神戸外大論集. 50・3. 43-63 (2000)
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[Publications] 山田 勇: "スラヴ語比較研究序説-形態論-"マティアス・フォート. 1-272 (1999)
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[Publications] 山口 厳: "パロールの復権-ロシア・フォルマリズムからプラーグ学派へ"ゆまに書房. 502 (1999)
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[Publications] 石田 修一: "新しい言語類型学-活格構造言語とはなにか"三省堂. 310 (1999)