1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10430011
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
五十嵐 仁 法政大学, 大原社会問題研究所, 教授 (20193170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 公嗣 明治大学, 経営学部, 教授 (20143521)
伊達木 せい 日本労働研究機構, 統括研究員
長峰 登記夫 法政大学, 第二教養部, 助教授 (70287829)
田中 勉 法政大学, 第二教養部, 教授 (50171773)
嶺 学 法政大学, 社会学部, 教授 (60061040)
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Keywords | 人事考課 / 組合の団結 |
Research Abstract |
関連研究を行った研究者からの報告をうけた後、通信調査について慎重に準備し、民間労働組合約2,000を通信調査し、約600の集計可能な回答を得た。単純集計結果を、協力してくれた調査対象に送付した。研究会での検討の上中間的まとめを、『大原社会問題研究雑誌』99年6月号に掲載する。そのほか、分担して、労働組合・会社を訪問し、より立ち入ったききとりを行った。 世界の普通の労働組合は、自然発生的に仲間意識をもって、団結し、共通な経済的利益の維持増進などのため、仲間間競争を避け、賃金その他の会社側処遇差別、特に、人事考課については、受け入れない。しかし、日本の企業別組合の場合、雇用・賃金慣行のなかに、人事考課が組み込まれており、それへの対応が問題となったものの部分的に受け入れてきた。最近、人事制度の変更がしばしば行われ、従業員間の人事考課による競争が激化している。労働組合は、その団結の維持のため、これらに対し、何らかの対応をしようとしているのか、または、個々の従業員が、競争して実力を発揮し、同僚より高い賃金を受け、上位の地位につくことが、組合員の期待であるから、それを認めて行くことを、組合員の利益として、組合が競争を支持、推進しようとしているのか、以上が研究グループとしての中心的問題意識であった。上記通信調査の結果は、圧倒的に後者の立場がとられていることを示している。ただし、一定の最低保障を求めたり、公正な制度運営を会社に期待する傾向はある。また、全労連系組合は、人事考課自体に反対しているとみられる。 通信調査と訪問事例調査から明らかになった、顕著な点としては、組合員の組合離れ、団結の弱体化がほとんどの組合で意識されていること、その対応として、組合員ニュースを読みやすくすることなどの措置がとられていること、人事制度の変更、人事考課のプランの設計にあたり会社側と一体となって推進しでいる例が少なくないことである。
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