1999 Fiscal Year Annual Research Report
地域工業化の展開と人的資源・経済組織の相互関連に関する比較史的研究
Project/Area Number |
10430017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐村 明知 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80127232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒田 利夫 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80121721)
馬場 哲 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40192710)
斎藤 修 一橋大学, 大学院・経済研究科, 教授 (40051867)
谷本 雅之 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10197535)
安元 稔 駒澤大学, 経済学部, 教授 (00067860)
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Keywords | 地域工業化 / 人的資源 / 経済組織 / 中間組織 / 中間団体 / 流通組織 / 転換能力(業種) / 地域行政 |
Research Abstract |
本共同研究は国際的な総合的比較史研究であり、研究の効率的な推進をはかるべく、「地域工業化研究会」(仮称)に共同研究者を組織し、縦横の研究連絡を密にするようにした。 今年(平成11年)度は、当該研究会をベースに2回の研究合宿を行い、研究計画にしたがって、個別研究報告(計6本)および研究連絡会、研究会『論文集』の編集委員会(1回)とを実施した。本共同研究は、地域工業化の展開と人的資源・経済組織の相互関連を国際比較史的に研究することを目的とすることから、個別研究報告の内容は多岐にわたり、国別にはフランス、ベルギー、イギリス、ルクセンブルク、ドイツと多数にのぼった。 研究報告会では、人的資源とからむ労働移動関連では、安元稔報告(「近代イギリスの労働移動-研究動向と事例-」)と斎藤英里報告(「工業化と移民労働者-19世紀イギリスにけるアイルランド人」)、また国境地域における地域工業化や経済関係に関する報告としては、石坂昭雄報告(「ザール=ロレーヌ=ルクセンブルク鉄鋼=石炭鉱工業地帯の形成と展開-国際工業地域における地域内・地域間経済関係の事例研究-」)、また、流通の観点からのアプローチとしては、市川文彦報告(「近代フランス流通史へのアプローチ-研究動向と論点の検討-」)と奥西孝至報告(「西欧における穀物流通の広域化と食料供給-と地域分業論の問題点-」)、そして市場と経済組織と制度に関する報告として勘坂純市報告(「賦役の経済理論」)、以上6本の研究報告がなされた。これらの研究報告と討論の中から浮かび上がってきた成果は、地域工業化の展開における労働移動や人的資源の重要性、また流通組織や経済組織、それに市場の拡張と展開にからむ地域の中間組織や中間団体や地域行政の重要性等である。 なお、研究代表者を中心にこれらの共同研究の成果をまとめ、『単行本』として刊行する計画を進めている。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 石坂昭雄: "ザール=ロレーヌ=ルクセンブルク=ベルギー石炭=鉄鋼業地帯における地域間国際関係の形成と展開"経済と経営(札幌大学). 30巻2号. 1-45 (1999)
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[Publications] 馬場 哲: "地域工業化と工業都市の誕生-北西ドイツ・ラーヴェンスベルク地方と都市ビーレフェルトの事例研究(1)-"経済学論集(東京大学). 64巻4号. 2-29 (1999)
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[Publications] 馬場 哲: "地域工業化と工業都市の誕生-北西ドイツ・ラーヴェンスベルク地方と都市ビーレフェルトの事例研究(2)-"経済学論集(東京大学). 65巻1号. 32-70 (1999)
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[Publications] 酒田利夫: "近世における首都ロンドン成長の諸側面"三田学会雑誌. 92巻3号. 171-189 (1999)
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[Publications] Minoru Yasumoto(安元 稔): "Migrants in Middlesbrough in the Nineteenth Century"駒澤大学経済学論集. 31巻3号. 1-36 (2000)
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[Publications] 重富公生: "イギリス1830年代前半の制度改革と地方社会-ヨークシャー一住人の手記-"国民経済雑誌(神戸大学). 180巻4号. 109-128 (1999)
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[Publications] 斎藤英里: "アイルランド移民についての基礎的考察-国際労働移動史研究の一環として-"武蔵野女子大学現代社会学部紀要. 1号. 63-76 (2000)
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[Publications] 高橋秀行: "ベルリーン経済圏における地域工業化の始動(18世紀末-19世紀中葉)"社会経済史学. 64巻1号. 52-74 (1998)
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[Publications] 佐村明知: "書評:ポール・ビュテル著『近代世界商業とフランス経済』(深澤克己他訳)"社会経済史学. 65巻3号. 106-108 (1999)
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[Publications] 重富公生: "ミンゲイのエンクロージャー論"国民経済雑誌. 179巻3号. 105-119 (1999)
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[Publications] 斎藤英里: "矢内原忠雄とアイルランド-周辺から見た植民学-"中村勝己編著『歴史のなかの現代-西洋・アジア・日本-. ミネルヴァ書房. 257-283 (1999)
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[Publications] Hideyuki Takahasi(高橋秀行): "Entwicklung der Berliner Maschinenbauindustrie in den 50er Jahren des19. Jahrhunderts in Lichto zeitgenossisher Berichte"Kobe University Economic Review. 44号. 1-19 (1999)
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[Publications] 斎藤 修: "賃金と労働と生活水準"岩波書店. 221 (1998)
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[Publications] 重富公生: "イギリス議会エンクロージャー研究"勁草書房. 386 (1999)