2000 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー多原子イオンビーム照射による超硬度被膜形成の研究
Project/Area Number |
10450119
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高岡 義寛 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90135525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 二郎 京都大学, 工学研究科, 助手 (40263123)
山田 公 京都大学, 名誉教授 (00026048)
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Keywords | 多原子イオンビーム / フラーレン / アルゴンクラスター / 多体衝突効果 / 高密度照射効果 / 薄膜形成 / 炭素薄膜 |
Research Abstract |
(研究実績の概要) 本研究では、炭素原子の多原子集合体(フラーレン:C_<60>)を蒸着しながらアルゴンの多原子ビーム(クラスター)をイオン化・加速して固体表面に室温で照射し、多原子イオンビームと固体表面との相互作用について実験的、理論的解明を行うとともに、超安定・超硬度被膜を形成する新しい薄膜形成を行った。その結果、原子状、分子状のイオンビームでは得られない多原子イオンビームの特異な照射効果、すなわち多体衝突効果・高密度照射効果を明らかにすると共に、ビッカース硬度が5,000kg/mm^<2の>高硬度で水素を含有しない硬質炭素薄膜の形成に成功した。作製した炭素薄膜の特性評価としては、ラマン分光分析による構造評価、原子間力顕微鏡(AFM)による表面平坦性、マイクロビッカース硬度計による膜の硬度、スクラッチ試験による密着性などについて評価分析を行った。従来の化学気相法やプラズマ法によって作製した炭素薄膜の場合、ビッカース硬度は約3,000kg/mm^2であるが、本研究で得られた炭素薄膜は高硬度で、耐摩擦、耐摩耗性にも優れた特性を示すことが分かった。さらに、シリコン基板、ステンレス基板、鉄基板など各種基板上に炭素薄膜を形成し、付着力の強い、超平坦な薄膜が得られ、金型や超精密な機械部品、電子部品、光学部品などの表面高機能化への展開を可能にした。なお、多原子イオンビームと固体表面との相互作用についての理論的解明として、分子動力学法による計算機シミュレーションを行い、フラーレンやアルゴンクラスターイオン照射による非線形照射作用や多原子イオン照射特有の多体衝突効果などを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] I.Yamada,J.Matsuo: "Ultra-Hard DLC Formation at Low Temperature by Gas Cluster Ion Beam Assisted Deposition"Mass and Charge Transport in Inorganic Materials : Fundamentals to Devices. 957-964 (2000)
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[Publications] I.Yamada,J.Matsuo,G.H.Takaoka: "DLC Film Formation by Ar Cluster Ion Beam Assisted Deposition"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (発表予定). (2001)
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[Publications] J.Matsuo,G.H.Takaoka,I.Yamada: "STM Observation of a Si Surface Irradiated with a Single Ar Cluster Ion"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (発表予定). (2001)
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[Publications] J.Matsuo,G.H.Takaoka,I.Yamada: "Ar Cluster Ion Bombardment Effects on Semiconductor Surfaces"Proceedings of 2000 MRS Fall Meetings. (発表予定). (2001)
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[Publications] J.Matsuo,G.H.Takaoka: "Size Dependence or Damage Formation by Cluster Ion Impact"Proceedings of 2000 MRS Fall Meetings. (発表予定). (2001)