1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10450197
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小野 芳朗 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (50152541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 賢治 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (50135612)
河原 長美 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (90093228)
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Keywords | 道路堆積塵埃 / 自動車排ガス / 路面排水 / 遺伝毒性 / 生態毒性 |
Research Abstract |
道路上に堆積している塵埃には自動車排ガス由来の化学物質の付着が指摘されているが、その雨天時流出が水環境に及ぼす影響を鑑み、遺伝毒性に併せ、藻類と甲殻類を用いた生態毒性試験の評価を試みた。双方の試験を適用することにより、同一環境試料の急性・慢性毒性両面の評価、換言すれば遺伝的毒性と水環境場における生態学的影響の一面を見ることができた。さらに道路環境の整備を環境への毒性学的観点から提言することも可能である。そのことは、雨水樋、側溝の構造、清掃車の走行頻度、自動車通行量の規制、排ガス規制、ガソリン車の代替技術などの展開を促すことが期待される。1)下水の2次処理水は遺伝毒性、藻類の増殖阻害がいずれも観察できたが、オゾンによる酸化はこのような毒性を消去した。2)雨天時の路面排水中には、固形物抽出物により多くのニトロアレーン由来の遺伝毒性が認められ、同様に藻類への増殖阻害も固形物抽出物で強く検出できた。このように、路面排水にも毒性を確認することができた。3)トンネルの集塵機の洗浄排水にも、固形物抽出物に双方の毒性が観察できたことは、自動車由来のものと推察することが可能となった。4)道路堆積塵埃を採取した、その抽出物中にとくに強い毒性がみられる。比較的通行量の多い国道幹線において強く検出できたことは、こうした毒性が自動車由来であることを裏付けていくものである。同様に道路を洗浄して、堆積・付着している物質を毒性試験に供する事でも、自動車由来の毒性物質を含む塵埃の存在を実証できた。5)このニトロアレーン由来の遺伝毒性と、藻類の増殖阻害にはある程度の相関性があり、塵埃に含まれる物質は、遺伝毒性、藻類増殖阻害ともに反応を呈するものが存在することが推察できる。
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