双結晶及び多結晶を用いたセラミックスの界面構造と強化機構の解明

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10450244
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 阿部 弘 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (10294977)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 古賀 和子 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 教務員 ; 吉田 冬樹 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (30243968) ; 中島 英治 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (80180280)
• Keywords: Al_2O_3粒界 / SiC粒界 / 方位像電子顕微鏡 / 界面構造 / 破壊エネルギー

Research Abstract

セラミックスの結晶構造、界面構造と機械的性質の相関を明らかにし、高機能構造材料の開発指針を提案することを最終目的として、初年度は以下の研究を行った。
1 単結晶と多結晶Al_2O_3を接触させ、1600℃以上の高温で処理後、その粒成長について方位像電子顕微鏡による観察を行った結果、相接する結晶の方位関係は〈0001〉に平行な共通回転軸を持つものは少なく、〈1100〉や〈3301〉等、c軸と60〜90℃をなす共通回転軸を持つものが多い等の新しい知見を得た。
2 気相成長させたSiCの微細粒および数mmの巨大結晶粒の方位関係および界面構造に関する解析を方位像電子顕微鏡や粉末X線回折法等により実施した。この結果、微細粒は3C型SiCからなり、結晶粒界は主にΣ3、Σ9、Σ27等の対応粒界からなること、粒の成長とともに結晶構造は6H型に変化すること等の新しい知見を得た。また、この結果を粒界エネルギーの安定性をもとに考察した。
3 ビッカースインデンター等により、微視的応力下における亀裂進展挙動に関する基礎試験を行い、破壊エネルギーが、多結晶焼結体SiC>気相成長SiC>単結晶SiCの順に変化すること、この差が亀裂進展にともなう結晶および粒界との相互作用により生ずると考えられる、等の基礎的知見を得た。
4 Al_2O_3添加SiCの多結晶焼結体に曲げを主体とした巨視的応力を負荷して、各種の破壊エネルギーを研究するため、装置の改良および標準試料による基礎データの取得をおこなった。
次年度は上記の基礎的知見を発展させ、機械的性質の測定および電子顕微鏡観察等により、結晶構造、界面構造と機械的性質の相関をさらに明らかにするための研究を推進する。

Research Products

• [Publications] 上原 雅人: "Fe-3wt%Si固溶体双結晶の粒界移動" 九州大学大学院総合理工学研究科報告. 20・1. 1-5 (1998)
• [Publications] 吉田 冬樹: "方位像顕微鏡によるCu-Mo人工積層材料の結晶方位解析" 九州大学中央分析センター報告. 16号. 16-22 (1998)
• [Publications] 池田 賢一: "モリブデン<001>対称傾角粒界の粒界破壊強度と粒界エネルギーの傾角依存性" 日本金属学会誌. 63・2. 179-186 (1999)