1999 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃固化プロセスによる非平衡バルク合金の作製とその物性
Project/Area Number |
10450261
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
真下 茂 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 助教授 (90128314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石谷 幸保 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 助手
西田 稔 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (90183540)
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Keywords | 非平衡合金 / メカニカルアロイング / 衝撃圧縮 / バルク化 / 遷移金属 / 固溶体 / ナノ結晶 / 磁性 |
Research Abstract |
近年、急冷、CVD、メカニカルアロイング(MA)などのプロセスにより過飽和固溶体、非晶質、ナノ結晶などの新しい非平衡物質が次々と合成されているが、粉体や薄膜でしか得られないためにその物性はよくわかっていない。本研究は主に遷移金属元素や高融点元素の多成分系でMA処理によって固溶相、非晶質、ナノ結晶などの非平衡合金粉末を作製し、衝撃固化プロセスを用いてナノ・メゾ構造から期待される新しい物性を有する非平衡バルク合金を創製しようとするものである。 平成10年度は鉄およびタングステン二元系で遊星型ボールミルを用いたMA処理と衝撃固化を組み合わせることによって、完全分離系のW-Cu,W-Agでは過飽和固溶相、ナノ結晶を含む非平衡バルク合金、常温で分離系のFe-CuではBCC,FCC構造の固溶体からなるバルク合金、常温で金属間化合物を形成するFe-Wでは過飽和固溶相、ナノ結晶を含むバルク合金を作製した。 平成11年度はこれらに加えて、汎用性の高いFe-Co係でアトマイズ法とMA法によって微粒子粉体を作製し、衝撃圧縮によってそのまま固化し、微粒子バルク体やナノ粒子バルク体を作製した。本年度はこれらの非平衡バルク合金の磁性を中心とする物性の評価実験を開始した。このために、窒素温度から1000Kまで測定できる試料振動型磁化測定システムを完成させた。Fe-Cu系のBCCおよびFCC構造固溶体バルク合金の磁化を測定した結果、ほぼスレ一ター=ポーリング磁化曲線と矛盾しない結果が得られた。これはこれまで測定不可能であった系で物理的に重要な結果である。また、Fe-Co系微粒子バルク合金では粒径の低下とともに保持力が増加し、あるところから再び低下する結果が得られ、ターゲット材料に適した性質が得られた。また、Fe-W系のメスバウア分光測定を行い、鉄相固溶体では強磁性、タングステン固溶相では常磁性を示す結果が得られた。W-Cu,W-Ag系では電気抵抗の測定を行い、純粋な元素金属に比べて格段に大きな抵抗値を示した。これは混合系の乱れた結晶状態によるものと考えられた。平成12年度以降は、特に遷移金属系の非平衡バルク合金について、微構造の観察と磁化特性に加えて磁気抵抗の測定に力を入れていく計画である。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 真下茂,他: "Preparation of metastable alloy bulk materials by mechanical alloying and shock compression"5th NIRIM International Symposium on Advanced Materials. 185-188 (1998)
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[Publications] 黄新〓,真下茂 他: "Preparation of metastable alloy bulk material in Fe-Cu system by mechanical alloying and shock compression"Shock Compression of Condensed Matter-1997. 439-441 (1988)
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[Publications] 黄新〓,真下茂 他: "Preparation of Fe-W system metastable alloy bulk body by mechanical alloying and shock compression"Journal of Materials Procesing Technology. 85. 135-137 (1999)
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[Publications] 真下茂,他: "Effects of decomposition on the magnetic property of shock-consolidated Sm_2Fe_<17>N_x bulk magnets"Journal of Materials Processing Technology. 85. 138-141 (1999)
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[Publications] 黄新〓,真下茂: "Matastable BCC and FCC alloy bulk bodies in Fe-Cu system prepared by mechanical alloying and shock com."Journal of Alloys and Compounds. 288. 299-305 (1999)
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[Publications] 黄新〓,真下茂: "Metastable alloy bulk bodies in the Fe-W system prepared by mechanical alloying and shock compression"Journal of Alloys and Compounds. 296. 183-190 (2000)
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[Publications] 黄新〓,真下茂 他: "Nonequilibrium alloy bulk material in W-Ag system prepared by MA and shock compression"Shock Compression of Condensed Matter-1999. (in press). (2000)
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[Publications] 真下茂: "メカニカルアロイングと衝撃圧縮を用いた非平衡バルク合金の創製"材料技術. (印刷中). (2000)
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[Publications] 真下 茂: "High-Pressure Shock Compression of Solids III"Springer-Verlag, New York. 341 (1998)