2000 Fiscal Year Annual Research Report
脂質分子構造からの高度不飽和脂肪酸の安定化と栄養学的機能性の向上化
Project/Area Number |
10460055
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤本 健四郎 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00005620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 泰志 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60194049)
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Keywords | ドコサヘキサエン酸 / モノアシルグリセロール / ジアシルグリセロール / トリアシルグリセロール / コレステロール / ラット / 吸収 / リンパ |
Research Abstract |
ドコサヘキサエン酸(DHA)を唯一の構成脂肪酸とするトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール(1(3),2-型、70%)およびモノアシルグリセロール(1(3)-型、90%)を化学的に合成し、DHAのモル数が等しい量をSD系雄ラット(4週齢)に強制的に経口投与し、リンパ管に挿入したチューブからリンパ液を回収した。その結果、リンパ液への移行は、モノアシルグリセロール>ジアシルグリセロール>トリアシルグリセロール≧エチルエステルとなり、とくにモノアシルグリセロールは有意に速かった。リンパ液中では、投与した脂質構造に関わりなく、DHAの大部分はトリアシルグリセロールとして存在した。また、リンパ中トリアシルグリセロールにおいて、DHAのグリセロールとの結合位置には、投与脂質構造の影響は認められなかった。 つぎにDHAの含有脂質の構造の違いがDHAの体内分布や脂質代謝にどの程度反映されるか、短期飼育により比較した。SD系雄ラット(5週齢)にAIN-93G飼料中の油脂の10%を上記と同じDHA含有脂質で置き換え、1週間飼育した。飼育終了後、麻酔下で採血、各臓器の摘出を行い、脂質分析に供した。DHAの見かけの吸収率は、モノアシルグリセロールが有意に他より高かったが、その差はわずかで、もっとも低かったエチルエステルでも95%を超えた。すべてのDHA投与群で血漿総コレステロール、HDL-コレステロールは対照群より有意に低下したが、DHA群間に有意差はなかった。しかし、血漿トリアシルグリセロール、リン脂質値はDHA群間で異なり、トリアシルグリセロール投与により、モノアシルグリセロールやエチルエステルより有意な低下が見られた。血漿中のDHA量はトリアシルグリセロール群で有意に低かったが、DHAの総脂肪酸に対する比率は、DHA群間に差はなかった。肝臓中のDHA量は、すべてのDHA群間に差がなかった。
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[Publications] Park,S.B.,Endo,Y.,Fujimoto,K. et al.: "Enzymatic synthesis of ethyl ester of highly unsaturated fatty acids from fish oils using immobilized lipase"Food Sci.Technol.Res.. 6・3. 192-195 (2000)
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[Publications] Banno,F.,Fujimoto,K. et al.,: "Lymphatic absorption and effects on lipid metabolism of docosahexaenoic acid given in the form of different molecular structure"Abs.Jpn.Oil Chem.Am.Oil Chem.Soc.World Cong.. 294 (2000)
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[Publications] 藤本健四郎: "高度不飽和脂肪酸含有油脂の構造が生理機能に及ぼす影響"食品と開発. 36・2. 5-6 (2001)
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[Publications] 藤本健四郎: "油脂構造が高度不飽和脂肪酸の酸化安定性に与える影響"科学と工業. 75・2. 53-60 (2001)