1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10460075
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
今村 祐嗣 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (70151686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 文男 京都大学, 木質科学研究所, 講師 (10109069)
杉山 淳司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (40183842)
畑 俊充 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (10243099)
山根 健司 京都大学, 環境テクノリサーチ, 所長
矢野 浩之 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (80192392)
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Keywords | 木炭 / スギ / 透過型電子顕微鏡 / ミクロフィブリル / タマネギ型フラーレン / 水銀 / 走査型電子顕微鏡 / 直接通電法 |
Research Abstract |
本研究においては、木質由来の焼成・焼結炭の微細構造を、焼成・焼結温度や焼結時の圧力条件を変えて明らかにし、炭素化に伴う結晶構造の特質を、電気的に、熱的性質と関連させて新機能性を解明した。これら微細構造の特質を、吸着性能、電気的、熱的性質と関連させて新機能を発現する素材としての可能性を探った。 全乾状態のあるいは炭化されたスギの粉末によって水銀水溶液中の水銀が吸着された。1から10ppmの濃度では、200℃、600℃、1000℃で焼成されたものが水銀をよく吸着した。1000℃で炭化した木粉は、活性炭よりも水銀よく吸着した。4-50℃/minの加熱速度で20℃から1300℃までスギを炭化した。木炭は、400℃から顕著な収縮を示し、加熱速度が大きいほど変形が大きくなった。700℃で30min炭化を行い、さらに直接通電法を用いて黒鉛化を行い、それらの過程をSEMとTEMを用いて解析した。ミクロフィブリル中のランダム構造とタマネギフラーレンの両方を観察することができた。1700℃,5minで焼結した木炭中の黒鉛の面間隔は2300℃で3hrs炭化した木炭と同様の値を示した。 本研究の意義は、細胞構造とセルロースミクロフィブリルの結晶構造を特徴とする「木質」の熱による微細構造を解明する解明した点である。軽量性、高弾性、高導電性、高安定性などの機能性を備えた炭素材料としての特性発現とのかかわりを明確にする上で重要である。間伐材や未利用木材を出発点とし、セル構造体を維持した特異な炭素素材に変換する可能性、あるいは再生資源からのニューカーボンマテリアルの生成の可能性を示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 今村祐嗣: "環境に調和した伝統的先端材料-木炭"都市緑化技術. 35. 26-29 (1999)
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[Publications] 今村祐嗣: "木質からのカーボン材料"日本木材学会第6期研究分科会報告書「木材利用の新分野:極限状態の木材」. II-68-II-76 (1999)
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[Publications] 今村祐嗣: "木炭からの機能性カーボン材料の開発"触媒. 41. 254-258 (1999)
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[Publications] 畑 俊充: "木質系バイオカーボンの微細構造の解析"Cellulose Comunications. 6. 127-133 (1999)
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[Publications] T.Hata: "Onion-like graphitic particles observed in wood charcoal"J. Wood Science. 46. 89-92 (2000)
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[Publications] T.Hata: "Microstructural Investigation of Wood Charcoal Made by Spark Plasma Sintering"J. Wood Science. 44. 332-334 (1998)
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[Publications] 山根健司: "木炭の構造変化に及ぼす焼結温度の影響"炭素. 186. 2-6 (1998)
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[Publications] 山根健司: "放電焼結法により調製された木炭の電気的・熱的性質"炭素. 182. 95-100 (1998)