2000 Fiscal Year Annual Research Report
鶏伝染性気管支炎(IB)の防遏に関する研究、特にIBVの総排泄腔接種
Project/Area Number |
10460141
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Research Institution | TOTTORI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大槻 公一 鳥取大学, 農学部, 教授 (00032293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村瀬 敏之 鳥取大学, 農学部, 講師 (20229983)
伊藤 壽啓 鳥取大学, 農学部, 教授 (00176348)
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Keywords | 鶏伝染性気管支炎 / 鶏伝染性気管支炎ウイルス / IBV / 病原性 / 臓器親和性 / 変異 / 呼吸器病型 / 腎炎型 |
Research Abstract |
ヒナの総排泄腔から鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV)を接種させるという方法により、呼吸器病型IBVであるConnecticut A-5968株を、腎炎を優勢に起こし得るIBVに変異させることに前年度において成功した。すなわち、IBVの病原性を変化させることに成功したのであるが、その変異のメカニズムは不明である。そこで、親ウイルスとこの変異ウイルスの差異について、遺伝子レベルで解析した。まず、これらのウイルスを濃縮、精製し、RNAを抽出して、PCRでS1、M及びN蛋白遺伝子全長を増幅した。次に、これらの遺伝子を鋳型にして、ダイレクトシークエンス法で親ウイルス及び継代ウイルスそれぞれの遺伝子の塩基配列を決定した。さらに、それらの塩基配列から予想されたアミノ酸配列について、すでに配列の明らかにされているIBV野外株との比較検討を行った。 親ウイルスと継代ウイルスの間で各遺伝子の塩基配列を比較した結果、S1遺伝子で合計6か所、M遺伝子では2か所の塩基が異なっていた。N遺伝子については両ウイルス間で変異はまったく認められなかった。これらの変異のうち、S1の3か所及びMの1か所はアミノ酸置換を伴う変異であった。すなわち、これらのアミノ酸がIBVの組織親和性に関与している可能性が考えられた。また、得られた配列情報とすでに明らかにされている野外株のデータをもとに進化系統学的解析をおこなった結果、自然界にもわずかなアミノ酸の相違で組織親和性の異なる株が存在すること、またIBVは進化の過程で遺伝子組み替えを起こした可能性のあることが示された。
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