2001 Fiscal Year Annual Research Report
噴火災害による地域社会の崩壊と再建をめぐる健康影響―避難と移住をめぐる高齢者の健康問題
Project/Area Number |
10470110
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
竹本 泰一郎 長崎大学, 医学部, 教授 (60010005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千住 秀明 長崎大学, 医学部, 教授 (30179361)
太田 保之 長崎大学, 医学部, 教授 (50108304)
中根 允文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
青柳 潔 長崎大学, 医学部, 助教授 (80295071)
和泉 喬 長崎女子短期大学, 教授 (20039556)
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Keywords | 噴火災害 / 雲仙普賢岳 / 後影響 / 人口 / 死亡率 / 喘息 / 人類生態学 / 危機管理 |
Research Abstract |
1.雲仙普賢岳火山噴火終焉後の地域人口の回復について:雲仙普賢岳噴火災害の被災地(島原市、深江町)が1995年の噴火終焉後どのように人口が回復したかを検討した。人工総数でみると、島原市では噴火によって1990年から1995年にかけて9%減少し、噴火の終焉後も人口は回復せず、2000年においても引き続き減少して噴火災害開始時(1990年)より11%減となっている。一方、深江町では噴火終焉時(1995年)には1990年より6.5%減少したが、その後人口は回復し2000年国勢調査では1990年時の96.8%まで回復している。これらの差異には島原市が市南部を中心とした全市的な災害であったのに対し深江町では北部に限局した災害であったという災害の地理的広がりの差異とともに、宅地開発、営農の転換など地域振興への対応が要因としてあげられよう。 2.疾病発生への影響について:悪性新生物、慢性閉塞性肺疾患、虚血性疾患による死亡率の推移を長崎県全体と島原市・深江町とで比較検討した。島原市の悪性新生物死亡が1995年以後高率であり、虚血性心疾患では深江町で近年高率化している傾向が認められた。 3.喘息の罹患頻度の重症化に対する影響について:1994年に行った島原市内の6小学校児童での喘息罹患についての調査を更に詳細に検討した。多重ロジステック分析の結果では、喘息の有病率や増悪割合がアレルギー状態の既・家族歴とともに噴火災害、特に避難と家族メンバーの離散が有意に影響していることが示された。 4.噴火災害など自然災害や環境汚染による地域環境の変容が人間の生活・健康にどのような影響をもたらし、どのような危機管理、保健・医療・福祉のシステムの構築が必要かを中国福州市における福建医科大学公共衛生院との学術交流会で意見交換を行い、地域の健康・環境・危機の管理に関して有益な示唆を得た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sasayama H, Takemoto T, et al.: "The Effects of Volcanic Disaster on the Prevalence and Seventy of Bronchial Asthma"Acta Med. Nagasaki. (in press).
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[Publications] Takemoto T: "Health Effects of Volcanic Eruption in the Unzen Fugen Volcano, Shimabara, Nagasaki, Japan"China-Japan Conference on Environment, Society and Health. 1-8 (2001)
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[Publications] 大塚俊弘, 中根允文: "精神科診断学体系におけるPTSD概念の位置づけ"臨床精神医学講座. S6. 3-17 (2000)
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[Publications] 竹本泰一郎: "雲仙普賢岳がもたらしたもの 火山"長崎出島文庫. 293 (2001)