1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10470119
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石津 日出雄 岡山大学, 医学部, 教授 (70033157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北尾 孝司 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (60218047)
山本 雄二 岡山大学, 医学部, 講師 (30136379)
宮石 智 岡山大学, 医学部, 助教授 (90239343)
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Keywords | トロポニンT / ミオグロビン / クレアチン / 横紋筋 / 脳背髄液 |
Research Abstract |
本年度は、各種事例における横紋筋内の筋蛋白(ミオグロビン、トロポニンT、トロポニンI、ミオシン軽鎖I、CPK、CPK-アイソザイム、CPK-MMアイソフォーム、GOT、GPT、LDH、LDH-アイソザイム、ALD)の活性ないし含有量を調べ、その法医学的意義を検討した。横紋筋の採取部位は側頭筋、胸鎖乳突筋、大胸筋、横隔膜、腹直筋、僧坊筋、広背筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、腕橈骨筋、長指伸筋、拇指球筋、大臀筋、腸腰筋、大腿四頭筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、腓腹筋、拇趾球筋に心筋を加えた20ヶ所とした。また、骨格筋特異的ミオシンなどについての検討は、必要な試薬の入手が困難であったため、蛋白ではないが筋肉内に多量に含まれているクレアチンに変更した。これら筋蛋白の横紋筋内含有量(活性)は事例ごとに違いがあったが、死因、死後経過時間などとの間に特定の関係は見出されなかった。また年齢、性別による明らかな差異も認められなかった。横紋筋の筋蛋白含有量は、骨格筋では部位による差は明瞭ではなく、また心筋では、何れの部位の骨格筋と比較してもGOT活性が高かったが、CPKやALD活性は低く、ミオグロビン、クレアチン含有量は少なかった。GPTやLDHの活性、CPK-MMアイソフォームパターンは心筋と骨格筋の間に大きな差はなかった。心筋トロポニンTは、心筋中には40-160μg/g・wetが含有されており、骨格筋中にも種々の程度に含有が認められたが、骨格筋中濃度の意義については今後の検討課題である。更に、各種体液中筋蛋白濃度の法医学的意義に関する検討を前年度から継続して行ったところ、心筋トロポニンTの血中濃度は慢性心疾患や胸部に外力が作用した事例で上昇が高度で、そのような濃度上昇事例の内因・外因の鑑別は、心嚢液中CPK総活性上昇程度から可能と思われた。脳脊髄液では、クレアチン濃度が経時的に高くなる傾向を一般に認めた。
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