2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性不眠症における睡眠時の交感神経活動亢進の病態生理学的意義
Project/Area Number |
10470203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉田 義郎 大阪大学, 健康体育部, 教授 (50127239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
漆葉 成彦 大阪府立こころの健康総合センター, 診療課長
三上 章良 大阪大学, 健康体育部, 助手 (60301272)
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Keywords | 慢性不眠症 / 交感神経活動 / 睡眠ポリグラフ検査 / サーモグラフィ / 精神性発汗 / 皮膚温 / 胃電図 / 睡眠呼吸障害 |
Research Abstract |
平成10年度の成果である、覚醒期→入眠→ノンレム睡眠期への移行過程のダイナミックな自律神経活動レベルの変化を、医用サーモグラフィ装置・局所発汗量連続記録装置・非観血式連続血圧測定装置で、覚醒・睡眠状態を睡眠ポリグラフィ技術で非浸襲的に同時測定技術の確立をうけて、平成11年度はさらに20名の睡眠呼吸障害を対象に検討を行った。同障害は、無呼吸期→覚醒反応→呼吸再開と呼吸状態および意識水準の著しい変化を伴うので、慢性不眠症と対照して自律神経活動レベルの変動をみるのには最も適した疾患であると考えられた。顔面の体温分布を医用サーモグラフィ装置にて連続的に観察したが、無呼吸エピソード特有の体温変化を捉えることはできなかった。局所(手掌)発汗量は就眠前に暗算や手を強く握るなどの負荷によって一過性に増加する例はみられたが、ほとんどの症例が日中過眠を伴っていることもあり、手掌の精神性発汗量の反応は弱かった。 平成12年度は、睡眠呼吸障害(夜間の不眠、日中の過眠)は、しばしば夜間に逆流性食道炎を伴うので、睡眠ポリグラフ記録と同時に夜間の自律神経活動を評価するため腹壁から非侵襲的に胃電図を記録した。また、経鼻的持続陽圧呼吸治療(CPAP)を行った5症例で治療前とCPAP治療中の成績を比較検討した。胃電図の変動周期の違いにより、bradygastria(0.5〜2.4cpm)、normal gastria(2.4〜3.6cpm)、tachygasyria(3.6cpm〜)の3タイプに分けてみると、治療前にはbradygastriaの出現率が50%以上を占め、優位な傾向があったが、CPAP治療中ではbradygastriaの出現率が50%以下と減少し、normal gastriaの出現率が増加した。tachygasyriaの出現率はCPAP治療前後で変動が認められなかった。また、CPAP治療前に胃食道逆流症を伴うと判定された症例では、胃食道逆流症を伴わない症例と比較してbradygastriaの比率が高い傾向を認めた。したがって、閉塞性睡眠時無呼吸や呼吸再開エピソードによる迷走神経および交感神経への強い刺激が胃の電気活動に対して侵害的な影響を与えることが明らかとなった。
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[Publications] Watanabe T,Mikami A,Shigedo Y,Motonishi M, Honda H,Kyotani K,Uruha S,Terashima K,Teshima Y,Sugita Y,Takeda M: "Esophageal pressure and apnea hypopnea index in sleep-disordered breathing"Psychiatry and Clinical Neurosciences. 54. 338-339 (2000)
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[Publications] Watanabe T,Mikami A,Shigedo Y,Motonishi M, Honda H,Kyotani K,Uruha S,Terashima K,Teshima,Y,Sugita Y,Takeda: "The relationship between esophageal pressure and apnea hypopnea index in obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome"Sleep Research Online. (in press). (2001)