1998 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺癌の実験的誘発および組織像の多彩性に及ぼす性ホルモンとそのレセプターの動態
Project/Area Number |
10470398
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
向後 隆男 北海道大学, 歯学部, 教授 (80001949)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 茂 北海道大学, 歯学部, 助手 (70241338)
飯塚 正 北海道大学, 歯学部, 助手 (80168062)
進藤 正信 北海道大学, 歯学部, 助教授 (20162802)
|
Keywords | 唾液腺癌 / 組織像の変移 / 腺癌 / 扁平上皮癌 / 性ホルモン / 性ホルモン・レセプター / ラット |
Research Abstract |
方法:雌Wistarラット(180g)を用い、以下の4群に分けた。 1. 卵巣非摘出(卵巣非摘出群)または卵巣摘出後(卵巣摘出後DMBA群)の状態でDMBA(9, 10,-dimethyl-,2-benzanthracene)を投与した。 2. DMBA誘発腺癌発育後に卵巣摘出(腫瘍発育後卵巣摘出群)あるいはtamoxifen投与(腫瘍発育後tamoxifen群)を行った。 DMBAは1%DMBAアセトン溶液とし、0.1mlを2週毎に6回顎下腺に注入した。tamoxifen(0.5mg /100gB.W.)の経口投与は週2回、6週間行った。実験期間はDMBA投与終了後2カ月までとした。病理組織学的検索では、抗ER抗体および抗サイトケラチン抗体を用いた免疫組織染色、TUNEL法によるapoptosisの検出ならびにBrdUを用いた標識細胞の同定などを行った。 結果:1) 雌および雄において発生時から扁平上皮癌の像を呈する癌腫は、太い導管上皮から生じており、腺癌から移行した扁平上皮癌とは組織像に差異が認められた。 2) 腺癌発育後卵巣摘出群:腺癌から扁平上皮癌への移行の初期には癌胞巣の変性部および近接してER(エストロジェン・レセプター)発現細胞が多くみられたが、BrdU標識細胞は胞巣辺縁部で著しく増加していた。扁平上皮への分化あるいは扁平上皮癌の像を示す部分では、ER発現細胞は減少し、BrdU標識細胞は増加した。扁平上皮癌の胞巣内のER発現細胞は変性傾向を示した。 3) 顎下線腺癌から扁平上皮癌への組織像の分化・移行は卵巣摘出やtamoxifen投与後比較的短期間に生じ、組織像の変異にはエストロジェンの関与が示唆された。 4) これらの変化には癌胞巣基底部の細胞および小導管、管腔構成細胞などCK19陽性細胞、BrdU標識細胞が関与していた。
|