1998 Fiscal Year Annual Research Report
易感染性宿主における日和見感染予防を目指した口腔細菌学的研究
Project/Area Number |
10470402
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
前田 伸子 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (10148067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 広二 鶴見大学, 歯学部, 助手 (60288123)
岡本 公彰 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30116008)
金澤 眞雄 東京医大, 医学部, 講師 (10147184)
西原 達次 国立感染症研究所, 口腔科学部, 歯周病室長 (80192251)
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Keywords | 易感染性宿主 / 口腔常在微生物叢 / 日和見感染病原体 / 高齢者 / 糖尿病患者 / 知的障害者 / Candida |
Research Abstract |
易感染性宿主の口腔常在細菌叢内の微生物,とくに代表的な日和見感染病原体であるCandidaを中心に以下の群で検索した.I特別養護老人ホームに入居する高齢者群;(65〜80歳,111名),健康な高齢者群(新潟県在住,70歳,45名,鶴見大学歯学部病院外来に来院した患者,65歳以上,29名),II糖尿病患者群:東京医大病院内科に入院中の重症糖尿病患者(20〜70歳,20名),III知的障害者群:知的障害者対象の養護施設に入居するダウン症候群およびそれ以外の知的障害者(20〜50歳,45名).その結果,高齢者群では,特別養護老人ホーム群の方が健康な対照群に比べて,Candidaの分離頻度が高く,両者間には統計学的に有意な差(χ^2-test,P<0.05)が認められ,Candidaの菌数も前者の方が高値を示した.このことから,健康な高齢者に比べて日常動作(ADL)値が低い高齢者の口腔でCandidaの分離頻度,菌数ともに上昇する可能性が示唆された.また,義歯装着者群は非装着者群に比べてCandidaの菌数が有意に高かった(Mann-Whitney U-test).さらに,義歯装着群では唾液中のS.mutans groupの分離頻度およびLactobacilliの菌数ともに非装着群より有意に高く,義歯表面のplaque形成にこれらの微生物が共生的に関与している可能性が示唆された.糖尿病患者群:糖尿病患者群は高齢者群と同様に舌表面からのCandidaの出現頻度が高い傾向を示し,とくに若年の糖尿病患者では血糖値コントロール前にCandidaが多く分離されたが,コントロール後にはほとんど分離されなくなった.知的障害者群:知的障害者群ではダウン症候群患者の舌表面からのCandidaの分離頻度が有意に高く,ダウン症候群以外の知的障害者群との間に統計学的に有意な差が認められた(χ^2-test,P<0.05).
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