2001 Fiscal Year Annual Research Report
咬合・咀嚼機能の維持増進を目指した新しい成人歯科健診システム
Project/Area Number |
10470452
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Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
松久保 隆 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (90112804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 亨 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50192092)
平井 義人 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80119742)
田崎 雅和 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40155065)
杉原 直樹 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00246349)
高木 多加志 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90192145)
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Keywords | 成人歯科健診 / 咬合咀嚼能力 / 主観的評価 / 食品受容応答スコア / パーセンタイル曲線 / 口腔内状況 / 食品受容状況 / 歯科保健指導 |
Research Abstract |
本研究の目的は、咬合咀嚼機能の維持増進を「保健モデル」としてとらえ、咬合咀嚼機能の心理学的(主観的評価)側面を口腔診査,咬合診査などの客観的評価によってどこまで捉えることができるか、咬合咀嚼機能の維持増進のための指標と保健指導の内容とはどのようなものかを明らかにすることである。また、咬合咀嚼機能の維持増進に関連する保健情報とは何か、受診者の咬合咀嚼機能の自己評価を重視した新しい成人歯科健診システムの構築を試みることも目的のひとつである。 今年度は、成人における食品受容状況の主観的評価を用いて食品咀嚼機能を調査票から評価する方法を検討することを研究目的とした。 本研究は、平成10年度に千葉市で行われた歯科疾患実態調査結果3)を用いて行った。対象者は20歳〜60歳台までの成人2,450名(女性1,252名、男性1,198名(表1))で、5歳間隔で9群に分けて検討した。31種の食品受容状況の調査結果と口腔診査から得られたDMFT index、一人平均現在歯数、喪失歯数、健全歯数、歯根面う蝕経験歯数、歯周疾患の有病部位数(CPI)を用いた。31種の食品について、噛めない、あまり噛めない、どちらともいえない、なんとか噛める、噛めるにそれぞれ1〜5のスコアを与えた。食品ごとのスコアを合計(最大値155、最小値31)し、個人の食品受容応答スコアとした。男女別に5歳間隔で3,10,25,50,75%タイル値を計算し、パーセンタイル曲線を求めた。対象者を25%タイル値以上とそれ未満の2群に分け、口腔状態の指標の比較をWindows版SASシステムVer.8を用いて統計処理を行った。 食品受容応答スコアが近似曲線の25%タイル値未満のものとそれ以上の値の2群間にはDMFT index、一人平均現在歯数、喪失歯数、健全歯数に男女ともに有意差が認められ、男性の60歳台の一人平均現在歯数は25%タイル以下のものが平均で5歯以上の差であった。一方、歯根面う蝕歯数は男性の35歳台を除いてすべての年齢群で有意差を認めなかった。歯周疾患の一人平均有病部位数は男女で35歳台まではスコアが25%未満のものが高い傾向を示し、男女ともに50歳台以上では応答スコアが低い者の有病部位数が有意に低かった。 食品受容応答スコアのパーセンタイル曲線は、成人における食品受容状況の自己評価に有用であると考えられた。食品受容応答スコアが25%タイル以下の者は、健全歯数ならびに現在歯数が有意に低い値を示すことから、食品の咬合咀嚼機能に何らかの問題をもつものと考えられる。31種の食品に対する食品応答の問診票は、成人における咀嚼に関する保健指導を行う際の評価方法として有用であると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 長坂 斉, 松久保 隆, 高江洲 義矩, 小林義昌, 佐藤 亨, 石川達也: "歯科処置および左右均等噛み指導による聴力の均衡化"日本全身咬合学会雑誌. 8(印刷中). (2002)
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[Publications] 古賀 寛, 眞木吉信, 松久保 隆, 高江洲義矩: "市販フッ化物洗口剤作用後のエナメル質および歯根面へのfluoride uptakeのin vitroにおける検討"口腔衛生学会誌. 52. 28-35 (2001)
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[Publications] 吉野浩一, 松久保 隆, 高江洲義矩: "成人の歯の喪失の初発部位"口腔衛生学会誌. 52. 258-262 (2001)
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[Publications] 吉野浩一, 鈴木啓介, 小山安徳, 松久保 隆, 高江洲義矩: "職場における成人の歯科受療行動調査-「歯の治療を受けないでがまんする」の応答"口腔衛生学会誌. 52. 275-280 (2001)
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[Publications] Sano, H., Shibasaki, K., Matsukubo, T., Takaesu, Y.: "Comparison of the activity of four chitosan derivatives in reducing initial adherence of oral bacteria onto tooth surface"Bull Tokyo Dental College. 42. 243-250 (2001)
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[Publications] Sano, H., Shibasaki, K., Matsukubo, T., Takaesu, Y.: "Effect of rinsing with phosphorylated chitosan on four-day plaque regrowth"Bull Tokyo Dental College. 42. 251-256 (2001)
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[Publications] 松久保 隆, 吉野浩一: "8020 地域歯科保健活動の現場から、成人(職域)歯科保健における口腔保健指標"HYORON(分担). 265-273 (2001)