1998 Fiscal Year Annual Research Report
養育不全の母親のタイプの解明と彼ら及びその子どもが必要としている質的ケアの探究
Project/Area Number |
10470530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 敦子 大阪大学, 医学部, 教授 (50196789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 昌江 大阪府立看護大学, 看護学部, 助教授 (70264827)
田中 春美 大阪大学, 医学部, 助手 (50294103)
鎌田 佳奈美 大阪大学, 医学部, 助手 (30252703)
田間 恵實子 大阪大学, 医学部, 講師 (80116061)
楢木野 裕美 大阪大学, 医学部, 助教授 (90285320)
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Keywords | 養育不全 / 一次的虐待 / 人格特性 / 関係性の歪み / 被虐待児 / 了解可能 / 参加観察 / 焦点面接 |
Research Abstract |
養育不全の母親のタイプの解明とその親子が必要としている質的ケアを明らかにすべく、「養育不全の状態にある母親と子どもについての疫学的研究、類型学的研究、治療的研究に関する基礎研究をおこなう」との今年度の研究目的にそい文献研究を先行させた。これに並行し、当研究に関心と臨力参加の意思をもっ助産婦15名を対象に、文献紹介を含めつつ児童虐待に関する勉強会を開き知識の啓発を行なうと共に、養育不全に関する認知の統一に努めた。その結果、養育不全(一次虐待)は「親を人格特性、社会的状況・活動、精神医学、ストレスの存在からみたとき、問題が親子関係の基本的歪みがら生じ、人格的、社会的問題は少ないが、存在していない状態にある。そして養育上の問題行為が第三者<了解可能>であり、何らかの援助がなされれば改善司能な状態」と位置づけた。この共通認識にたって、養育問題を予測される母子を見いだすべく、産科病棟に入院中の母子を対象者として背景リストと観察項目リスト、リスクが予測された母親を対象者とした半構成的質問紙を作成した。さらに、子どもが1か月、3-4か月、6か月になった頃に、継続訪問をすることに了承を得られた母親に対して、各時期にそった半構成的質問紙を作成した。養育問題に関心をもつ児童虐待精神科医、小児科医、臨床心理士、保健婦、ソーシャルワーカーの参加を得て、これらの質問紙の妥当性を検討し、現在、データー収集と分析の段階にある。得られた3例は低出生体重児と若年の母親であり、母親の不安感と育児負担感がみられ、養育不全化の要因として抽出できる可能性が見えつつあるが、まだ構造化にはいたっていない。さらなる参加観察と焦点面接を続行し、要因の明確化と構造化により、次年度の主要な研究目標である「養育不全の母親のタイプの解明」につなげていきたい。
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