1999 Fiscal Year Annual Research Report
養育不全の母親のタイプの解明と彼ら及びその子どもが必要としている質的ケアの探求
Project/Area Number |
10470530
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 敦子 大阪大学, 医学部, 教授 (50196789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 敦子 大阪大学, 医学部, 助手 (70314383)
鎌田 佳奈美 大阪大学, 医学部, 助手 (30252703)
楢木野 裕美 大阪大学, 医学部, 助教授 (90285320)
上野 昌江 大阪府立看護大学, 看護学部, 助教授 (70264827)
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Keywords | 養育不全 / 一次的虐待 / 人格特性 / 発達の質的転換期 / 若年の母親 / 育児負担・不安 / 強迫観念 / 参与観察 |
Research Abstract |
「養育不全(一次的虐待)の母親のタイプの解明と母親と子どもが必要としているケア」を明らかにすることを目的に、平成10年度にひき続き、参与観察および半構成的面接による質的研究をおこなった。作成した観察・背景リストをもとにして、産科病棟入院中に養育問題を予測された母子41組を抽出した。そのうち39人の母親から、退院後に訪問することへの同意をえた。そのすべての母親に対して、子どもが生後1ヵ月の時期に家庭訪問をして、さらなる聞き取りおこないデータの収集と分析を重ねた。そして、依然として養育問題が続いている、あるいは新たな養育問題の発現が懸念される母親に対しては、その同意をえて、子どもの発達の質的転換期である生後4ヵ月と6ヵ月の時期に家庭を訪問して、それぞれ20組、3組のデータを収集し、現在もデータの収集と分析を継続している。 今年度においては、ケースへの面接や分析を通して、「子どものもつ問題(健康)」「きょうだいのもつ健康・情緒問題」「母親の健康問題・精神医学的状態」「親の生育歴」「母親(父親)の人格特性」「母親のストレスの存在」「母親の社会的交流状況」「養育問題と育児・家事の状況」「活用できる(社会)資源」「訪問に対する(母)親の反応」が、母親の養育不全のタイプ化に有効な枠組みであることが明らかになった。これらの側面に焦点をあてつつ、現在もデータの収集、分析は続行中であるが、母親の養育不全のタイプとして、1)低体重出生であったり基礎疾患をもっている、夜泣きが激しいなど、<子どもの側に何らかの特性がある>、2)成功した生活スタイル、キャリアをもち、<完璧な育児を求めて強迫観念をもつ>、3)若年であったり、経験不足のため<子育てに対して未熟さをもつ>ことが抽出されてきている。
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