1999 Fiscal Year Annual Research Report
寄生原核生物由来のオルガネラにおける前駆体蛋白質のプロセシングの分子機構
Project/Area Number |
10480171
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 明夫 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30037379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 栄 九州大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20284482)
荻島 正 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70177153)
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Keywords | プロセシングペプチダーゼ / ミトコンドリア / 前駆体タンパク質 / プロセシング / ペプチド基質 / 基質認識 / リケッチア |
Research Abstract |
寄生原核生物に由来し、進化的に関連あるオルガネラのプロセシングにおける前駆体とぺプチダーゼとの特異的分子認識や切断位置決定に関与する双方の構造要素とそれらの相互作用、活性部位の構造、反応機構を理解することを目標とした。本年度は、ミトコンドリアのプロセシングぺプチダーゼに関しては、前駆体認識の機構を前駆体と酵素の両側から解析した。一方、ミトコンドリアの祖先の一つと考えられているリケッチアやトリパノソーマの類似タンパク質のcDNAクローニングとそれから得られたタンパク質の性質を真核生物の酵素と比較した。 1.いくつかの前駆体タンパク質の延長ぺプチドを例に、系統的にアミノ酸を変換したペプチドを化学合成し、これらを用いてぺプチダーゼとの親和性や切断(水解)反応速度を定量的に解析した。本年は特に、切断位置よりカルボキシ末端側の2位、3位、及び4位のアミノ酸について解析した。これらの位置には親水性、とくにセリン、スレオニン等の水酸基を持つアミノ酸の存在が切断反応そのものに(kcat)に重要であることを示した。 2.蛍光標識ペプチド基質と精製酵素との相互作用の解析から、延長ペプチド中の近位および遠位アルギニンはその距離が5-10アミノ酸離れていても、酵素内の同じ位置に結合していることを示し、その間に存在するグリシンによるペプチド鎖のフレキシビリティの重要性を示唆した。 3.リケッチア遺伝子ライブラリーからプロセシングプロテアーゼホモローグの遺伝子をクローニングし、大腸菌においてタンパク質を発現させた。タンパク質は金属イオン依存性のプロテアーゼ活性をモノマーの状態で有していた。切断点のアミノ酸要求性は異なるが切断点から離れた位置のアミノ酸が関与している点で真核細胞ミトコンドリアのものと似ており、祖先分子の可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 森脇香、等: "Analysis of Recognition Elements for Mitochondrial Processing Peptidase Using Artificial Amino Acids;Role of the intervening"J.Biochem.. 126・5. 874-878 (1999)
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[Publications] 伊藤明夫: "Mitochondrial Processing Peptidase;Multiple-site recognition of precursor proteins"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 265・3. 611-616 (1999)