パルテノン神殿附属彫刻群の図像デ-タベースの構築

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10551001
• Research Institution: Tokyo Gakugei University
• Principal Investigator: 小川 知二 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20251572)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 増田 金吾 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20134786) ; 金子 亨 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90233882) ; 水田 徹 財団法人 大和文華館, 同付属美術研究所, 館長・所長 (30055917) ; 古瀬 政弘 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (40251574) ; 宮里 明人 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20243537)
• Keywords: パルテノン / フリーズ浮彫 / ギリシア / 図像解釈 / 様式判定 / メトープ彫刻 / アクロポリス美術館 / 大英博物館

Research Abstract

平成10年度にCD化したパルテノン・フリーズ浮彫の石板毎の全図および部分図のうち、全図についてはそのすべてを、部分図については凡そ750図をデータ・ファイル化し、それを1、国際共通番号に従った石板順に配列し、2、各石板毎に全体図、部分図(俯瞰・斜角図を含む)、配列図、色分け図、ドリル痕跡図、実測断面図を配し、3、各図に任意の大きさへの拡大・縮小機能とドラッグ機能を与え、4、騎馬行進図と戦車行列図については色分け図を横一列につないで任意のスピードで左右に移動させながら表示することができる、オートプレイ機能をつけ加え、その全体をDVD一枚のパイロット・プロジェクタに仕上げた。
その有用性の具体例は多数にのぼるが、図像解釈上新知見をもたらすもの、様式判定に直接関わるもの、その結果制作工房の特定ひいては制作工程の割り出しに関わるもの、そしてギリシア美術の特性を如実に物語るものなどに大別される。なおこれらの写真撮影の手法と撮影データおよびデータベースの基本設計と構築法、および各機能の内容および操作法については、本基盤研究の研究成果報告書に詳しく説明した。
また当初はこれらの図像データに加え、その各図について、パルテノン彫刻の主要先行研究および本研究で得られた観察結果を文字データとして入力する予定であったが、和文の細密さと文字量の多大さから翻訳が進まず、別途、研究成果公開促進費を申請して完成させることとした。またパルテノン南メトープの等高線図のデータ入力およびその立体画像表示については、そのデータ量が膨大なため、今回は古瀬政弘の論文として数例を挙げるにとどめ、等高線図全18図については別途、メトープ版データベースを構築して公開することとした。
また本プロジェクタの画像にはアクロポリス美術館、バーゼル古代彫刻館、大英博物館の著作権が厳しく及んでいるため、このことを明記した上、DVDそのものは専門の研究者に限って配布することとした。

Research Products

• [Publications] 水田 徹: "パルテノン・フリーズの図像観察から得た新知見"造詣美術学・演劇学. 2. 122-134 (1998)
• [Publications] 宮里 明人: "パルテノン神殿東フリーズの構図に関する考察"大学美術教育学会誌. 31. 247 (1999)
• [Publications] 秋山 聰: "古代ローマの女性画家「マルティア」の誕生"地中海学研究. 22. 111-134 (1999)
• [Publications] 水田 徹: "パルテノン・フリーズ図像・様式一覧"(株) ぎょうせい. 384 (1999)
• [Publications] 秋山 聰: "西洋美術館"小学館. 1151 (1999)