1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10551012
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森田 洋司 大阪市立大学, 文学部, 教授 (80086181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
添田 晴雄 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (30244627)
滝 充 国立教育研究所, 室長 (50163340)
秦 政春 大阪大学, 人間科学部, 教授 (20117047)
若井 彌一 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (60004123)
星野 周弘 帝京大学, 文学部, 教授 (50297115)
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Keywords | いじめ / いじめ防止 / いじめ対策 / マニュアル / 校内暴力 / 生徒指導 |
Research Abstract |
次のような点が今年度の知見として明らかになった。 まず、第1に、いじめの対策および防止プログラムを検討するにあたっては、いじめという行動およびそこに含まれている、いじめ行動の普遍性と被害・加害の転換という本質的要素について考慮すべきであることである。従来の被害学では、特定の環境や特定の状況にある人が被害を被るといった仮説を前提にして理論が形成され、それに基づいて防止策が考えられた。しかし、いじめに見られるような、誰でもが加害者となり得、かつ、誰でもが被害者となるという現象は、従来の被害学や安全観念の組み替えを要請するものである。こうした現象は、いじめ以外の領域では、地球環境汚染問題、原発事故等が同質の問題として考えられる。 そして、第2には、この問題は欧米のみならず現代社会が抱えている近代という問題、あるいは、その近代という観念がもたらされた、理性による科学的コントロールという観念をあらためて問い直す作業を含んでいるということが明らかとなった。 さらに、第3には、いじめ問題の背景と言われている、産業化社会や管理社会の背後にある効率性、合理性という社会的パラダイム、および、個の確立の問題等々はあらためて近代の営みという中で再検討されていく必要があることが確認された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 星野周弘: "少年非行防止のための警察活動" 警察政策. 第1巻第1号. 90-109 (1999)
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[Publications] 竹村一夫: "いじめ場面における関係の親密性-「仲のよい友だちからのいじめ-" 社会システム論集(島根大学法文学部紀要社会システム学科編). No.3. 107-121 (1998)
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[Publications] Y.Morita et al ed.: "The Nature of School Bullying" Routledge,London, 384 (1999)
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[Publications] 森田洋司: "「いじめ-社会の深層からの視点を」石附実編『比較・国際教育学』補正版" 東信堂, 18(408) (1999)
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[Publications] 所一彦、星野周弘ほか編: "日本の犯罪学 第7巻、第8巻" 東京大学出版会, 393(7)355(8) (1998)
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[Publications] 星野周弘: "「逸脱的な社会生活の構成と制御」望月誠編『講座社会学10逸脱』" 東京大学出版会, (発刊予定) (1999)