1998 Fiscal Year Annual Research Report
ナノフォーカスビームによる固体表面上の水素2次元分布の研究
Project/Area Number |
10555010
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
上田 一之 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 泉 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, PD (70288562)
石川 憲一 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, PD (90288556)
吉村 雅満 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40220743)
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Keywords | 水素 / 水素検知 / 電子励起 / イオン脱離 / 飛行時間 / 走査型 / シリコン / 水素終端 |
Research Abstract |
固体表面上の水素の検知、表面の水素の2次元分布の測定を行うことにより固体の表面での水素の振舞いが明らかになりつつある。電子励起イオン脱離法で水素を検出するには、その励起断面積の関係から数百eVの低速の電子ビームが必要である。このような低エネルギーの電子は細く絞ることが困難で、しかも、絞るとビーム電流が極端に小さくなる。面分解能1ミクロン以下で水素の分析を行うには1nA程度のビーム電流が必要となる。これらのことを克服しつつ、表面水素の2次元分布測定を可能にしてきた。本研究で使用中の電子銃は2keVのとき50nmφになるが、電子銃の配置の問題と最適エネルギーの点から現在600eVで0.3ミクロンのビーム径となっている。シリコン上に吸着した原子状水素(プロチウム)を連続ビームで照射して任意の部分の水素を脱離させ、その後に2次元分析をしてみると明らかに意図したパターンが描かれている。固体内で散乱する電子ビームの影響を受けて水素の分布は広がっているので分解能の評価には注意を要するが1〜3ミクロンくらいで描画できていることが判った。また、水素脆性で亀裂を生じた鋼材料の分析に応用したところ、水素脆性の場所に水素の高濃度の部分があることが確認された。また水素吸蔵合金の表面分析の結果は複数の元素の合金で構成され結晶粒界が数ミクロン単位で分布していて、水素と酸素の濃度分布が遍在していることが判った。この研究で用いているScanningProtoscopeによる分析では水素のみならず酸素の分布も鮮明に分析され水素の吸着、吸蔵、脱離の機構が解明され得ることを示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Ishikawa, M.Yoshimura K.Ueda: "New development of scanning type microscope for two-dimensional hydrogen distribution using electron-stimulated desorption method" Surface Science. in press.
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[Publications] K.Ueda, K.Ishikawa M.Yoshimura: "A new system of two-dimensional hydrogen analysis and application to metal surfaces" J.Alloys and Compounds. in press.
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[Publications] K.Ueda, K.Ushirosako M.Yoshimura: "Surfactant effect of Atomic hydrogen on silicide-formation of nickel on Si(110)" Thin Solid Films. 341. 1-4 (1999)
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[Publications] 上田一之: "電子励起イオン脱離法による走査型水素検出顕微鏡" 応用物理. 67,12. 1414-1417 (1998)
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[Publications] K.Ueda, K.Ishikawa M.Yoshimura, Y.Sakai: "Two-dimensional hydrogen analysis system and Application" Proceedings of 4th Special Symposium on Advanced Material. 191-194
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[Publications] K.Ueda, K.Ishikawa M.Yoshimura: "A new development of scanning hydrogen imaging system and its application" Material Research Symposium Proceedings. 513. 17-22 (1988)