Research Abstract |
本研究では,冬季に窓面近傍で発生するコールドドラフトのインテリア側への流入を防止するための暖房機の適切な制御方法を明らかにすることを目的としており,ここでは,既存の暖房機のエネルギー消費量を削減する方法として,コールドドラフトのもつ運動エネルギーに着目し,このエネルギーを有効に活用できるようなカバーの形状について測定とシュミレーションに基づいて検討を行う.今年度は,暖房機を備えた実在の空間を対象にした測定を行い,カバーの効果について検討している. 平成8年〜10年の冬季には,宮城高専内の教室棟(RC3階建)2階にある,北向窓面を持ちスチーム式暖房機1台(北壁面下部,幅70cm)を備えた空間(延床面積:21m^2)を対象に,(1)暖房:運転/停止,(2)カバー:有/無,(3)蓄熱体:有/無を組み合わせた計5条件の測定を行った,その結果,暖房機の周囲にカバーや蓄熱体を設置することにより,(1)コールドドラフトは,カバーと壁面の間へと入った後,暖房機近傍へと流れ,そこで加熱され,上昇流としてインテリア側へ流入する様になり,ドラフトの運動エネルギーが有効に活用される.(2)暖房停止後の室温の低下を緩和することができる等の知見を得た. 平成10年〜11年の冬季には,宮城高専内の教室棟(RC3階建)1階にある,南向窓面を持ちスチーム式暖房機3台(南壁面下部,幅70cm)を備えた空間(延床面積:79m^2)を対象に,(1)暖房:運転/停止,(2)カバー:有/無を組み合わせた計4条件の測定を行った.その結果,暖房機の周囲にカバーを設置することにより,(1)ドラフトの運動エネルギーが有効に活用され,室内空気がより攪拌されるため,室内での温度分布が数℃と小さく押さえられる.(2)暖房停止後の室温の低下を緩やかにすることができる等の知見が得た.
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