1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい窒・酸化物薄膜による金属の表面改質とその分光学的評価に関する研究
Project/Area Number |
10555252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Takaoka National College |
Principal Investigator |
野瀬 正照 高岡短期大学, 一般教育科目等, 助教授 (70269570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前 健彦 富山工業高等専門学校, 環境材料工学科, 教授 (10042821)
佐治 重興 富山大学, 工学部・物質生命システム工学科, 教授 (60029072)
長柄 毅一 富山県工業技術センター, 研究員
中村 滝雄 高岡短期大学, 産業工芸学科, 助教授 (60198215)
横田 勝 高岡短期大学, 産業工芸学科, 教授 (10029225)
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Keywords | TiN / 反応スパッタ / 色彩分析 / 色度値 / 視感反射率 / 明度 / 比抵抗 |
Research Abstract |
〈主な実施項目〉 1. 高周波電源のスパッタ装置への取り付けと,それによる最適なスパッタ条件の探索. 2. TiN膜の作製とその電気抵抗およびCIE基準による色彩分析. 3. 膜の微細構造と膜中の不純物分析結果と膜の色彩特性および電気抵抗との関連についての考察. 〈結果〉 1. 高周波電源(RF)を用いた反応スパッタは,直流電源(DC)を用いた反応スパッタ法に比べ,より少ない反応ガス量で化学量論敵組成の窒化物,酸化物膜が得られることが明らかになった.例えば,TiN膜の場合,DCスパッタではAr/N2=15/10でほぼTi:N=1:1の膜が得られたが,RFを使用した場合はAr/N2=15/5で得られた.これは高周波電源を用いた場合,反応ガスのイオン化が促進されるためと考えられる. 2. TiN膜についての色彩分析の結果,より低ガス圧の最適なガス混合比において24金に近い色彩が得られた.また,官能試験の結果,TiN膜において色度が24金に比べて多少ずれていても,明度が高ければ24金に近い色彩に感じられることが分かった.さらに,TiN薄膜を作製する場合,最適なAr/N2混合比であっても,全圧が高い(0.3Pa以上)場合には,膜の明度は著しく低下し,比抵抗は上昇する,基板バイアスを印加しない場合には全圧が高い条件下ではピーニング効果が十分得られず、コラム間の空隙の多い粗な膜となる.そのため,空隙に吸着される酸素とこの空隙が自由電子に対する障壁となるため,比抵抗が上昇し、かつ明度が低下することが明らかになった. 3. 比抵抗と明度(視感反射率)には逆比例の定量的関係が有り,しかもDC,R「などの作製法に関わらず,材料が同じであればこの明度と比抵抗の関係は全て同一の曲線上に載ることがわかった.このことは,膜の比抵抗を直接測定できない場合でも,反射光の明度から比抵抗が推定できることを示しており,工業的な応用が期待される.
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