2000 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の増殖減衰を利用した土壌透水性制御に関する研究
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10556049
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
宮崎 毅 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00209892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 勝寿 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40313069)
溝口 勝 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00181917)
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Keywords | 土壌微生物 / 透水性 / 間隙構造 / 原始間力顕微鏡 / クロッギング / 粒径 / 微生物活動 / 目詰まり |
Research Abstract |
本研究は、土壌中の微生物を増殖させたり減衰させることにより、土壌の透水性が所定の目標値となるように制御する技術を開発することを目的としている。特定の土壌や特定の条件のみで適用可能な技術に止まらせないため、ガラスビーズ、標準砂、火山灰土、沖積土、熱帯土壌、泥炭土壌など様々な種類の土壌において微生物コントロールによる透水性制御法を検討した。 平成12年度においては、現地フィールドにおける測定、室内カラム実験計測、理論の構築を平行して行った。現場測定では、北海道美唄ミズゴケ湿原において微生物の活動を見るべく各種測定を行った結果、土中にメタンガスが多量に発生し蓄積されていることが分かった。メタン生成菌活動の結果として発生するこのメタンガスは、透水性低下に大きな影響を与えることが知られているが、現場においてこの現象が確認されたことは注目すべき事実である。さらに、蓄積されたメタンガスは、地下水位低下に伴って大気中へ放出されることによる環境問題を引き起こすことも考えられるため、地下水面下におけるメタンガス発生の室内ミズゴケカラム実験を行った。その結果、カラム中の水面下5cmでの酸化還元電位が実験開始後6日目でマイナス150mV以下に低下すること、その結果多量のメタンガスが気泡状に発生すること、しかも、地下水面を10cm低下させると、大気中に多量のメタンガスを放出することなどが確認された。本実験結果の重要性に鑑み、現在、有名国際誌などへの論文投稿を準備中である。 理論の構築については、ガラス粒子を用いた微生物増殖による透水係数低下の実験結果を解析し、粒径の違いが微生物増殖とコロニー剥離現象に影響することを突き止め、これを非相似土壌(NSMC)モデルを用いて数学的に説明することに成功したので、Water Resources Research誌に投稿したところ受理され、現在印刷中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K.Seki and T.Miyazaki: "A mathematical model for biological clogging of uniform porous media"Water Resources Research. (印刷中). (2001)
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[Publications] 井本博美,宮毅毅,中野政詩: "土壌断面に現れる堆積履歴、人為履歴について-美唄湿原地帯の土壌物理性(I)-"土壌の物理性. (印刷中). (2001)
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[Publications] 井本博美,宮毅毅,斉藤広隆,中野政詩: "泥炭土の透水性および保水性について-美唄湿原地帯の土壌物理性(II)-"土壌の物理性. (印刷中). (2001)
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[Publications] 藤川智紀,宮崎毅,関勝寿,中野政詩: "田畑輪換圃場における土壌微生物数分布とCO_2、O_2ガス濃度分布の相関について"農業土木学会論文集. 208. 19-28 (2000)
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[Publications] J.Zhuang,K.Nakayama,G.R.Yu,and T.Miyazaki: "Scaling of Saturated Hydraulic Conductivity : A Comparison of Models"Soil Science. Vol.165 No.9:. 718-727 (2000)
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[Publications] 飯山一平,宮崎毅,中野政詩: "地下水位変動に伴う泥炭土の収縮・膨張について"農業土木学会論文集. 205. 1-11 (2000)
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[Publications] 宮崎毅: "環境地水学"東京大学出版会(単著). 196 (2000)
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[Publications] J.Zhuang,G.Yu,T.Miyazaki,K.Nakayam: "Advances in Geoecology 32, Subsoil Compaction"Catena Verlag GMBH(分担執筆). 462 (2000)