2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10556051
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡 太郎 京都大学, 防災研究所, 教授 (90027243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜口 俊雄 京都大学, 防災研究所, 助手 (90263128)
石井 将幸 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (50293965)
|
Keywords | 地下ダム / 3次元地下水流 / 地下水の異常上昇 / 電気探査 / 塩水楔 / 多孔体の抵抗則 / 帯水層定数の最適化 / Cokriging |
Research Abstract |
沖縄本島・宮古島・喜界島などでは地下ダムに関する調査が進められ、試験施工を経て本格施工に移行している。しかし、地下ダムは地下に設置されるため現象が直接目にみえないため、建設が進むに伴って新たに浮上してきた問題も少なくない。昨年度に引き続き、次の3項目について基礎研究を行い、地下ダム建設に関する設計技術を一層確かなものにした。 (1)異常降雨に伴う地下水位上昇の定量的予測及びその対策:地下ダムを建設した場合、当然のことながら貯留域の地下水位が上昇する。最悪の場合には地下水が地表面より噴出する場合も考えられる。この問題に対処するため、地下水流動の非定常・3次元数理モデルを開発して地下水上昇を定量的に予測する手法を提案した。 (2)多孔体中の流況変化に伴う揚水量の減少機構の解明:琉球石灰岩などの多孔質帯水層では、揚水量の増加に伴って急速に井戸水位が低下し、計画水量が取水できなくなるという現象が見られる。ここでは、多孔体中の流れ(浸透流)が層流・遷移領域を経て乱流に移ることによる抵抗変化を数値実験的に調べ、揚水量減少機構を明らかにした。 (3)海水(塩水)浸入地区での塩水の排除:集水域を大きくとり貯留量を少しでも多くするためには、止水壁を海岸近傍に設置することが考えられる。この場合には、ダムサイトに海水が浸入している場合が多く、止水壁の建設に伴って海水が封じ込められる場合が発生する。この問題を解決するために、塩淡境界面の定量的評価法及び対象地域の地下水塩水化機構について検討を行った。 (4)地下水の空間分布の推定と流況管理:地下ダムの運用管理において地下水分布の表示が重要である。しかし、観測情報が少ない場合には地下水の推定精度は低下する。不透水性基盤との相互相関性が補助的に活用できるcokriging法を用いて地下水位分布の最適推定法を提案した。
|
-
[Publications] 岡太郎 ほか12名: "地下水の利用と保全-沿岸帯水層における淡塩境界面の挙動と地下海水の有効利用-"水資源研究センター研究報告. 20号. 135-138 (2000)
-
[Publications] Ishii M.,T.Oka and K.Otoshi: "Investigation of Saline Water Intrusion into Aquifer by Using Resistivity Method"Groundwater Updates. 235-240 (2000)
-
[Publications] 唐,大年,藤原,石井,岡: "海岸帯水層における塩淡境界面の変動と電気探査による境界面の推定"日本地下水学会誌. Vol.42. 223-233 (2000)
-
[Publications] 大年,藤原,松田,岡,石井 ほか2名: "電気探査による海岸帯水層の塩淡境界面の推定"京都大学防災研究所共同研究報告書. 11G-7. 44-56 (2000)
-
[Publications] 浜口俊雄: "情報量基準を援用した地下水位分布の地盤統計学的最適手に及ぼす観測数の影響"平成12年度水資源セミナー講演集. 12H-9. 25-37 (2000)
-
[Publications] 浜口俊雄: "不良な計測情報下でのcokrigingによる地下水分布の最適推定と相互的補間効果"水工学論文集. 第45巻. 343-348 (2001)