1999 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンス核酸を用いた家禽の生産効率向上に関する研究
Project/Area Number |
10556062
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 純市 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (10023425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 一美 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20221913)
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Keywords | ニワトリ / アンチセンス核酸 / オリゴヌクレオチド / 絶食 / 遺伝子発現 / インスリン様成長因子結合蛋白質 / 脳 / 肝臓 |
Research Abstract |
ニワトリの成長に不可欠であるインシュリン様成長因子-I(IGF-I)は、そのほとんどがIGF結合蛋白質(IGFBP)と呼ばれる蛋白質と結合しており、IGFBPはIGF-Iと結合することによりその働きを制御していると考えられている。本研究では、低栄養条件下で急激に増加するIGFBP-2をアンチセンス核酸法を用いて抑制することにより、IGF-Iの成長促進作用を低栄養条件下でも維持させることを最終的な目的とした。3日齢のニワトリヒナを8時間絶食させた後、アンチセンス核酸(最終濃度5mg/mL)または溶媒(0.1%エバンスブルーを含む生理食塩水とDMRIE-C試薬の1:1,(V:V)混合物)を脳室および肝臓に投与した。投与後2及び6時間後にヒナを屠殺し、エバンスブルーで染まった組織の周辺を採取し、poly(A)RNAを抽出した後、ノーザンハイブリダイゼーション法を用いてIGFBP-2 mRNA量を測定した。IGFBP-2アンチセンス核酸の塩基配列は、IGFBP-2 mRNA自身が二重鎖やステムなどの2次構造を形成せずにアンチセンス核酸が結合しやすい部位を、DNA/RNA 2次構造予測プログラムを用いて5'-CCG ACC CCG CCG AGC GCC AT-3'と予測し、ホスホロチオエート化したオリゴヌクレオチドを合成した。アンチセンス核酸投与後2時間における脳内IGFBP-2 mRNA量は、対照群との間に有意な差は見られなかった。しかしながら、6時間後には対照群の約60%にまでIGFBP-2 mRNA量が減少し、処理間に有意な差が見られた。一方、肝臓においてはIGFBP-2アンチセンス核酸投与後2及び6時間のいずれにおいても、IGFBP-2 mRNA量は対照群の試料に比し有意に減少し、対照群の約30%まで低下した。以上の結果より、今回設計したIGFBP-2アンチセンス核酸は、IGFBP-2 mRNA量を減少させることが判明した。
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