1999 Fiscal Year Annual Research Report
振動応答解析による大腿骨頚部骨折予知診断装置の開発
Project/Area Number |
10557132
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
斉藤 覚 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (20175350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 享久 長野県工業試験所, 部長
野村 彰夫 信州大学, 工学部, 教授 (00115362)
畑 幸彦 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (50293527)
森泉 哲次 信州大学, 医学部, 教授 (70157874)
小林 道明 北見工業大学, 教授 (20105539)
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Keywords | 大腿骨頚部 / 骨折 / 振動応答解析 / 骨折予知 / 診断装置 |
Research Abstract |
大腿骨には3つの一次振動モードがあり、そのうち高周波数側の振動は大腿骨頚部の回旋方向のねじれ振動である。ねじれ振動を生体で検出するには、大腿骨の近位または遠位端に加速度センサを設置すれば、最も高振幅のねじれ応答波形が得られる。大腿骨頚部の力学的強度の低下はねじれ振動が最も鋭敏に減少する。ねじれ振動モードをFEMの動画で観察すると、骨頭部にねじれと同期して曲げのモードが観察され、大腿骨全体に曲げとねじれが連成したモードが起きていた。ねじれ振動モードにおいては頚部前下方には圧縮、後上方には引っ張りの応力集中がみられた。大腿骨のねじれ振動モードは単純なねじれではなく、近位部は曲げモードに近い連成振動モードであり、このモードの腹の一つは頚部に存在する。したがって、大腿骨頚部の曲げ剛性の低下は左右の曲げ共鳴振動数よりも、この曲げと連成したねじれ共鳴振動数において、より鋭敏に反映する。 プロトタイプの長管骨弾性診断装置を制作し、骨折治癒の共鳴振動数による定量評価に用いた。その結果、骨癒合初期でX線上架橋仮骨の形成のみられない時期に鋭敏に共鳴振動数が変化し、この時期の骨癒合評価に有用であった。AOS-100による頚部骨折の抽出能は、超音波速度が最も優れ、1525m/sec前後が骨折閾値と考えられた。今後、制作した長管骨弾性診断装置を用い、大腿骨のねじれ振動を生体で測定し、頚部の力学的特性から大腿骨頚部の骨折予知を行えることが可能となった。
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[Publications] 中土 幸男 ほか: "振動応答解析によるヒト大腿骨頚部の力学的特性評価"Osteoporosis Japan. 6. 672-676 (1998)
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[Publications] 吉田 郁夫 ほか: "ねじれ振動とヒト大腿骨頚部の力学的特性との関係"日本臨床バイオメカニクス学会誌. 19. 297-301 (1998)
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[Publications] 中土 幸男 ほか: "超音波顕微鏡を用いた皮膚骨および骨折部の音響的異方性観察"日本臨床バイオメカニクス学会誌. 20. 213-217 (1999)
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[Publications] 吉田 郁夫 ほか: "振動解析用大腿骨有限要素モデルの作成と骨の力学特性評価への応用"医用電子と生体工学. 37. 51-58 (1999)
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[Publications] 吉田 郁夫 ほか: "振動解析用の大腿骨有限要素モデルの開発"日本臨床バイオメカニクス学会誌. 20. 119-122 (1999)
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[Publications] 青木 大輔 ほか: "超音波顕微鏡による骨組織の力学的特性評価"日本機械学会論文集. (印刷中). (1999)