1999 Fiscal Year Annual Research Report
汎用性c-kit ミュータントラットの開発とその利用の展開
Project/Area Number |
10558121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北村 幸彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70028520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 誠一 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50218856)
森井 英一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10283772)
実宝 智子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70252658)
浅井 秀一 日本エスエルジー株式会社, 春野支所長
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Keywords | c-kit レセプター / マスト細胞欠損ラット / マスト細胞 / 突然変異ラット / 消化管ストローマ細胞腫 / レセプターチロシンキナーゼ / カハール介在細胞 |
Research Abstract |
Ws/Wsミュータント・ラットは我々が発見したc-kit 遺伝子座の機能喪失性突然変異ラットである。メラノサイトマスト細胞、カハール介在細胞を欠損している。日本SLCの感染事故のためにWs/Wsラットが供給されず本来の研究を展開できなかったが、本年度に入ってコロニーから感染が除かれWs/Wsラットの生産も回復しつつある。Ws/Wsラットの使用の希望は相変わらず内外から数多く寄せられているで、要望があった場合には情報を提供している。本年はc-kit 遺伝子の病理学的意義についての研究で特に進展がみられた。Ws 突然変異遺伝子は機能喪失性であるが、我々はc-kit 遺伝子の機能獲得性突然変異がヒトのマスト細胞腫瘍と消化管ストローマ細胞腫瘍(gastrointestinal stromal tumor,GIST)の原因となることを明らかにした。さらにヒトの場合c-kit 遺伝子の胚細胞性の突然変異としては、機能喪失性の優性白斑症のみしか知られていなかったが、我々は胚細胞性で機能獲得性のミュータントを発見した。細胞膜貫通領域とチロシン・キナーゼ領域の間にある傍細胞膜領域の点突然変異あるいは欠失は家族性GISTの原因になる。家族性GISTの発症年齢は比較的高く、大部分の患者は生殖年齢を超えて生存する。また傍細胞膜領域で突然変異が多くみられるアミノ酸も11個あるので、家族性GIST cancer syndrome の中では頻度の高いものと考えられる。最初にみつけたのはわが国の家系であったが当然外国でもあると考え調べてみることにした。American Journal of Surgical Pathology におそらく家族性GIRTとおもわれる例が multiple autonomic nerve tumor と言う診断名で掲載されていたので、著者に手紙を書きパラフィン・ブロックをおくってもらったところ、予想どおりこの母娘例の腫瘍組織と正常組織のすべてで、c-kit 遺伝子の傍細胞領域の同一の点突然変異を発現した。家族性GISTはcancer syndrome としては多いものであるという推測は正しかった様である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Taniguchi M, Kitamura Y et al.: "Effect of c-kit mutation on prognosis of gastrointestinal stromal tumors"Cancer Research. 59. 4297-4300 (1999)
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[Publications] Ito A,Kitamura Y et al.: "Inhibitory effect of transcription factor encoded by the mi allele in mast cells"Blood. 93. 1189-1196 (1999)
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[Publications] Tsujimura Y,Kitamura Y et al.: "Activating mutation in the catalytic domain of c-kit elicts hematopoietic transformation"Blood. 93. 1319-1329 (1999)
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[Publications] Kim DK,Kitamura Y et al.: "Different effect of various mutant MITF on phenotype of murine mast cells"Blood. 93. 4179-4186 (1999)
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[Publications] Adachi S,Kitamura Y et al.: "Involvement of MITF in expression of alpha melanocyte stimulating hormone receptor"Journal of Immunology. (in press).
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[Publications] Hirota S,Kitamura Y et al.: "Cause of familiar and multiple gastrointestinal autonomic nerve tumors"American Journal of Surgical Pathology. (in press).
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[Publications] Kitamura Y et al.: "Signal Transduction in Mast Cells and Basophils"Springer-Verlag,New York. 423 (1999)
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[Publications] Kitamura Y et al.: "Mast Cells and Basophils in Physiology ,Pathology,and Host Defense"Academic Press,London(in press).