1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10559004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 毅彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (90237941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糟谷 英一郎 山脇学園短期大学, 家政学部, 講師 (20224420)
林 春男 京都大学, 巨大災害研究センター, 教授 (20164949)
公文 俊平 国際大学, グローバルコミュニケーションセンター, センター長 (80012318)
岩崎 敬 (株)岩崎敬環境計画事務所, 主任研究員
村上 陽一郎 国際基督教大学, 文学部, 教授 (40012504)
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Keywords | 都市安全学(都市計画論) / 持続環境論 / 第3次産業革命と都市(情報化都市論) / 都市爆発(メガロポリス論) / まちづくりと生涯学習(生涯学習論) / 創造的コミュニケーションシステム(マルチメディアネットワーク) / 都市コミュニティの自立(都市コミュニティ論) / 文化的多様性(都市文化論) |
Research Abstract |
機械時代の都市から知恵時代の都市への過渡期として現代を仮定し出発点とするこの研究において、初年度の大きな目的は、課題の共通認識と研究環境の設定であり、時代認識、モデル都市の設定、非持続概念の確認、研究環境の設定、であった。 1)時代認識:都市を近代社会活動の結果としてみるならば、現代の経済課題もまさに都市の死の問題として位置づけられる。時代認識に関して経済視点の包含という視点から、阪神淡路大震災の被災地を見直すと、外部からの経済的注入が一段落した現在、経済的困窮が続いている。これは地元の商工会議所などの産業経済面の指摘もある。本来復興は、インフラの再整備による新規展開の可能性あるにも関わらず得ていない現状は、被災地の問題と言うより時代の問題であり、単なる既存機械時代の政策の限界を物語っている。一方、全国各地の過疎地では、これまでの過疎対策の決め手がないこと、つまり経済的注入の成果がないことは、震災対策に共通している。一方で、東京圏への集中はスプロール化とともに規模の拡大が続き、エネルギーの集約と効率の低下を含めた包括的にリスクが拡大している。 2)モデル都市の設定、及び非持続概念の確認:震災被災地、過疎地、大都市圏、それぞれの傾向から共通する点を整理することが現在の課題であるが、安全学の視点からは、持続性の背景にある「持続的活力をプログラム化させる内発力の有無」にかかっている。 巨大化による自立性の欠落、本来の都市運営と異なる衛星化による自立性の欠落、補助金による自立性の欠落は、いづれも創造的活性化の欠落を意味する。情報流通の多少ではく情報創造とその発信の多様性の欠落に都市の死を当てはめると、これらのモデルは該当すると言える。以上の共通要素を比較した段階で、東京、地方都市、衛星都市、過疎地をモデルとして確定する予定である。同様に海外の状況を、ヨーロッパの都市から比較的大規模な都市の生活環境などについて、モデルを選ぶ予定である。 3)研究環境の設定:分散した研究分担者相互のコミュニケーションをインターネット環境で構築した。通常メール環境に加え、画像による双方向環境を構築できるように進めている。過疎地と研究室とをインターネット上の画像データベースを介してコミュニケーションを図る実験で得た成果を改良し導入していくこととした。 次年度は、モデル都市の確定、それをもとにするデータ比較、コミュニケーション環境の効果評価などを進めながら、評価システムの方針を設定する予定である。今年度進められなかった海外との交流も計画する。 参考研究:97年度〜99年度/過疎地に於ける文化の多様性の欠落に関する研究(トヨタ財団) 96年度〜98年度/安全学及び、都市安全学(国際高等研究所)
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 林春男: "被災者の自立と被災地の復興防災学にとっての心のケアとは何か" 医学書院精神医学. 40. 865-872 (1998)
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[Publications] 林春男(他): "阪神・淡路大震災の建物被害データベース構築に関する研究" 1998年地域安全学会論文報告集. 8. 78-87 (1998)
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[Publications] 橋本毅彦: "『国家のための科学技術』は終わったか" 大航海. 20. 92-97 (1998)
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[Publications] 村上陽一郎: "安全学" 青土社, 246 (1998)