1999 Fiscal Year Annual Research Report
錯覚に対する初頭観察経験の差異が刺激図形の認知的把捉に及ぼす諸効果に関する研究
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10610078
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Research Institution | Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
後藤 倬男 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (40022355)
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Keywords | 錯視図形の見え / 初頭観察効果 / 明るさおよび色の同化・対比 / 傾斜縞模様図形 / 初頭観察での不安定な反応 / 図形把捉態度の効果 / 同化・対比的"見え"の教示による移動 / 認知的(トップダウン的)図形把捉 |
Research Abstract |
本年度は、「観察経験を操作された被験者群」に対して、初頭の反復観察に伴う「刺激図形に対する図形把捉態度の効果」の検討を進めた。そこでは、「明るさおよび色の同化・対比」を生じさせるために、白・黒および赤・緑の誘導領域を有する多様な刺激図形(傾斜縞模様図形)を、現有の「グラフィック・カラープリンタ」、および、昨年度の当科研費によって購入できた「レーザープリンタ」によって印刷し、これらの刺激図形を個別に呈示して反応を記録・集計するために、本年度購入の「ノート・パソコン」(NEC LaVie LW33H/73D6)を使用した。そして、これらの刺激図形を美術系および他専攻の大学生群に呈示して、初頭の反復観察の経過に伴って、『どのように刺激図形が見られているのか』について組織的に調べてみた。 その結果、ごく初頭の観察では、それまでの観察経験に関わらず、刺激図形の"見え"は総じて不安定であったが、美術系の観察者には、「同化・対比」がすでに一部で生じており、基本的な「錯視図形の見え(捉え方)」に、他専攻の観察者とは差異のあることが認められた。そして、彼らの"見え"は、「同化・対比現象の説明」によって、これまでの他専攻の観察者と同様に安定し、その後の観察において両現象が明瞭に出現した。さらに、観察態度の教示によって、この"見え"が変化しており、刺激図形に対する認知的(トップダウン的)な「図形把捉の変換」によって、より同化的・より対比的な方向への「"見え"の移動」が生じていた。この移動は、観察の反復の中でも同様に生起しており、「初頭の観察経験によって、色および明るさの錯視(同化・対比)が方向を確定していく様相」に興味ある傾向が見出された。これらの結果については、研究論文の作成を進めるかたわら、国際心理学会・日本心理学会・日本色彩学会等において発表を予定している。
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[Publications] 後藤倬男: "傾斜縞模様図形における同時色同化・対比におよぼす縞の幅と経験の効果(2)-観察態度についての検討-"日本色彩学会誌. 第30回全国大会要旨集. 96-97 (1999)
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[Publications] 小針弘之: "コフカリング・パターンにおける検査領域の大きさおよび経験の効果"日本色彩学会誌. 第30回全国大会要旨集. 98-99 (1999)
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[Publications] 後藤倬男: "傾斜縞模様図形における明るさの同時同化・対比におよぼす縞の数と経験の効果-観察態度についての検討-(発表予定)"日本色彩学会誌. 第31回全国大会要旨集. (2000)
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[Publications] 後藤倬男: "Effects of experience on simultaneous contrast and assimilation in Koffka-ring type stripe-patterns(発表予定)"International Journal of Psychlogy. 第32巻. (2000)