1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610087
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松田 隆夫 立命館大学, 文学部, 教授 (00035312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘆田 宏 立命館大学, 文学部, 助教授 (20293847)
川端 康弘 北海道大学, 文学部, 助教授 (30260392)
|
Keywords | 放射運動の速度過大視 / 運動に伴う奥行き情報処理 / 一次運動と二次運動 |
Research Abstract |
今年度は、拡大/縮小運動パターンに伴う奥行き情報処理について、その速度知覚における特性を調べることにより、研究課題に関する実験的検討を行った。拡大/縮小などの放射運動では平行運動に比べて速度知覚に過大視が生じ、この場合の過大視は、放射運動に伴う奥行き方向への見かけの移動距離が増大することによると考えられており、放射運動の処理機構への奥行き情報処理の寄与が示唆されるからである。そこで、運動手がかりによる奥行き情報処理への寄与が弱いとされる二次運動を用いて、放射運動での見かけの速度を調べた。もし、放射運動での速度過大視が奥行き情報処理によるものであれば、二次運動での放射運動では速度過大視が生じないと予想された。 実験では、輝度とコントラスト変調により規定された一次運動での放射運動と、コントラスト変調のみにより規定された二次運動での放射運動を刺激として用い、拡大/縮小運動を標準刺激、平行運動をテスト刺激とする時間的強制二肢選択課題での恒常法によって、一次または二次運動の放射運動の見かけの速度を測定した。その結果、一次運動の放射運動では平行運動に比べて見かけの運動速度が約20%増大したが、二次運動の放射運動では速度の過大視は起きなかった。この結果は、放射運動に伴う奥行き情報処理により放射運動での速度過大視が生じるとする考えを支持するものである。(研究成果の一部は、日本基礎心理学会第18回大会で発表した。) 上記の知見を踏まえ、現在は、放射運動を構成する正弦波縞に空間周波数勾配を加えることによって静止奥行き手がかりを付与した運動刺激を用い、その速度知覚の特性を調べる目的で、実験条件を満たす視覚刺激の作成と予備的な観測を継続している。
|