1998 Fiscal Year Annual Research Report
長期閉鎖・隔離空間での集団生活が心身に及ぼす影響について
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10610106
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 正文 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (30197470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 元彦 海洋科学技術センター, 海域開発・利用研究部, 主任研究官
水村 和枝 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (00109349)
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Keywords | 閉鎖隔離環境 / 行動パターン / 集団形成 / ストレス / 自律神経機能 |
Research Abstract |
本研究はスペース・ステーションや海底研究室を想定し、長期間、閉鎖・隔離された環境下にヒトが複数で置かれた場合の彼らの行動パターン、集団形成、ストレスなどについて研究した。実験としては、海洋科学技術センターの潜水シミュレータを利用し、初対面の22から27歳までの男性5名を5日間の閉鎖・隔離とその前後2日ずつの予備期間をおいて実施した。ここでは共同生活中の行動分析と、知覚テストを5名共同で実施させ、精神的ストレスの知覚への影響や計画立案等の精神集中度の変化や対人関係の距離などの観察を行った。また閉鎖・隔離環境への環栗前後と隔離中の血液分析により内分泌系ストレス因子の測定、全行動量の測定、さらに睡眠時の脳波や心電図解析により自律神経機能を検討した。 結果の概要:行動分析:閉鎖終了時にはリーダーの以内3人のグループと1人の分離者と1人の中立者の形成が見られ。入室者選抜に関する問題が提起された。感覚機能:温冷覚、熱痛覚については、系統的でないが変化が認められ、その変化も閉鎖からの解放後1日以上経過しても回復にいたらなかった。心理分析:心理テストでは系統だった変化はなかった。また実験後半では緻密性に欠け、緻密な計画の構築には精神的疲労が最も大きな要因であることが判明した。内分泌機能:血液中のストレス指標に閉鎖隔離の影響が認められた。またリンパ球の初期活性についてはさらに検討を行う。 睡眠状態:睡眠は隔離前半は不慣れな環境のため、また後半は運動不足によ流と思われる入眠潜時の延長、睡眠の中断と浅睡眠が顕著であった。さらに睡眠時の心拍変動により、自律神経機能の啓示的な変化が示唆された。
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