1999 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のストレスとソーシャルサポートの関連に関する多変量解析的世代間比較研究
Project/Area Number |
10610134
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Research Institution | Hokkaido Women's University |
Principal Investigator |
杉山 善朗 北海道女子大学, 人間福祉学部, 教授 (50045332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 至 北海道女子大学, 人間福祉学部, 助教授 (10208928)
安藤 貞雄 北海道女子大学, 人間福祉学部, 教授 (40088935)
竹川 忠男 北海道女子大学, 人間福祉学部, 教授 (50045366)
稲田 尚史 北海道女子大学, 人間福祉学部, 講師 (80193556)
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Keywords | 高齢者の対人関係ストレス / 対人行動の3型 / 高齢者の生きがい意識 / 家族成員のストレス / 家族成員とソーシャルサポート / 高齢者と家族サポートの連関分析 |
Research Abstract |
我々は、これまで心理社会的側面に焦点を当てた高齢者のストレス研究を進めてきた。その研究経過は2つに分かれる。第1は、高齢者の心理社会的ストレス測定尺度の作成である。心身相関的なストレス徴候の有無について問う項目群と情動的ストレス反応を問う項目群合計40項目から成るストレス尺度を作成し、分析対象者396名のデータについての多変量解析の結果、年齢、性別、健康条件、生活行動などの様態について心身ストレス反応の増減に意味のある大きさのカテゴリー・ウエイトが見出された(杉山、1996)。第2は、完全回答者130名を対象とした高齢者のストレス対処行動に関する研究である。心理・社会的特性が大きく異なる世代間においては、心身ストレスへの対処行動も相違するであろうとのLazarus、R、L.らの行動適応論的考察とErikson、E、L.らの生涯発達心理学的観点から、検討を試みている(杉山ほか、1998)。 高齢者の心理・社会的ストレス研究の第3として、ソーシャルサポートとの連関を外すわけにはいかない。高齢者ストレス研究に関する我々の研究成果や家族面接記録に基づいて、家族関係や交友関係などの高齢者が保有し活用しているソーシャルサポートの広狭、強弱が高齢者の心身ストレス反応の増強ないし軽減に作用する要因として浮かび上がってきた(杉山ほか、1998)。この様態を客観的に検討するために、特養老人ホーム、老人保健施設の完全回答要介護者109名、完全回答介護者82名計191名を対象として本研究が実施された。要介護者には、(1)健康、生活形態、家族、近隣、交友についてたずねる5問、(2)身体的ストレスについての18問、(3)精神的ストレスについての18問、(4)人間関係ストレスについての14問、(5)生きがいについての20問合計75問、介護者については(1)身体的ストレスの18問、(2)精神的ストレスの18問、(3)社会関係についての20問、(4)社会的サービスの10問、(5)老人施設入所についての6問合計72問の設問を用意し回答を求めた(これらの設問項目は、すでに学会誌論文でその妥当性と有効性が確かめられている)。本研究においては各スケール間の連関性が検討・吟味され本研究の主題に関する考察が加えられた。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 杉山善朗、福井、竹川、稲田: "老年期の社会的適応に影響を及ぼす心理的要因と両者の関連"老年精神医学雑誌. 9・4. 364-371 (1998)
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[Publications] 川本俊憲、杉山善朗、吉岡康子: "高齢者の家族療法的援助の技術"高齢者問題研究. 14. 185-192 (1998)
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[Publications] 杉山善朗、森田茂、新山雅美ほか: "幼犬の行動が特養ホーム入所者に与えるQOL向上効果"高齢者問題研究紀要. 16. 123-132 (2000)
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[Publications] 杉山善朗: "高齢者ストレス低減におよぼす家族・ソーシャルサポート効果研究"北海道老年社会科学雑誌. 2. 未定 (2000)
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[Publications] M.Niiyama,S.Morita and Y.sugiyama,et al.: "Effects of exhibition of puppies in the colorless transparent acrylic pen in a Nursing home and evaluations of the elderly resedents"the 34th lnternational Society of Applied Ethnology,Florianopolis,Brazil.. (2000)
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[Publications] 福井至、坂野雄二: "抑うつと不安における不合理な信念と自動思考および気分の関連"人間福祉研究. 3. 1-12 (2000)
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[Publications] 杉山善朗: "アイゼンク・神経症はなおせる147ー156本明寛(編)ブックガイド心理学"日本評論社. 241 (1998)
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[Publications] 杉山善朗: "SDS、顕現性不安スケール(MAS)、モーズレイテスト(MPI)日本心身医学会用語委員会編"医学書院. 290 (1999)
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[Publications] 杉山善朗: "タイプA行動パターン日本保健医療行動科学会(編)保健医療行動科学事典"メディカルフレンド社. 356 (1999)