1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610168
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鵜飼 照喜 信州大学, 教育学部, 教授 (80045161)
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Keywords | 産業廃棄物処分場 / 立地条件 / 循環型社会 / 第二次公害問題 / ストック公害 |
Research Abstract |
1998年5月に長野県北部農村地帯の一角に、大量の汚泥不法投棄が発覚し、マスコミで報じられたこともあり、県内の農業廃棄問題の深刻さが全国的に知られるようになった。すでに県内では1980年代から同問題を抱える地域は多数あり、なかには上記付近の千曲川河川敷に大手ゼネコンの共同出資による建設廃材用の施設を建設する計画もあった。また県北部の他の村では集落の水道水源のわずか500m上流域に産業廃棄物処分場を建設する計画もあった。この計画には、地元住民の反対運動を皆に、村役場自身が同施設の建設差し止めの仮処分申請を求め、村の主張が認められた。他にも、県内には現在の産業廃棄物処理施設の操業をめぐり、住民の求めに応じて役場が環境調査にのり出している事例もいくつかみられる。こうした動きは今日の産業廃棄物問題やリサイクル問題を扱う専門誌に紹介され、長野県はこの問題の紛争のないところとみられている。 ところで、産業廃棄物処分場の立地条件には、おおよそ次の4つの点が共通してみられる。その1つは、アクセスとしての高速道路が付近を通っていること、第2には山間部の過疎地であること、第3には行政区の境界付近であること、第4にはそうした施設の導入をはかる社会的勢力がいることである。これらの条件のそろった長野県は、国のいう循環型社会からほど遠く、この問題を第二次公害問題、あるいはストック公害の問題として、地元住民はもとより、環境問題に関心のある人々の懸念するところとなっていることが明らかにされた。
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