2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610174
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秋葉 節夫 広島大学, 総合科学部, 教授 (90192905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 眞義 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (60261559)
永野 由紀子 山形大学, 人文学部, 助教授 (30237549)
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Keywords | 水稲作 / 農家経営 / 農業生産組織 / 農業の共同化 / 集落営農 |
Research Abstract |
山形県庄内地方に位置する鶴岡市平京田と酒田市漆曽根4区の事例研究では、以下の点から明らかになった。すなわち、まず鶴岡市では、ライス・センターの稼動によって刈取・乾燥・調整にかぎらず、耕起から田植にいたる春作業全般の共同化がめざされた。平京田の場合には、その形態が、「部落ぐるみ」の集団栽培のトラクター班の残存ではあっても、それが田植機共同の単位にもなり、そうして明らかに、当のねらいを先取りしていたわけである。こうして、ライス・センターという「施設主導型」共同化のなかに再編されて、農作業の共同化にも踏み出している。他方、酒田市の場合は、鶴岡市と同様に、ライス・センターが利用班構成をとっているとはいえ、加入率はまだ高くはない。つまり、その意味で、これまでは、「施設主導型」として秋作業の共同化が進むということはない。しかし、「高速道路関連事業」によって、機械の共同化と同時に、刈取作業の共同化が仕業した。ライス・センターが進むにつれて、その利用班として定着していくものと思われる。他方、岡山市藤田では、共同化の運きは、見られないが、生産組織形態をとった受托組織が見られ、それが岡山県、児島地方の水稲作業経営のひとつの特徴となっている。生産組織である「雄断会」は、10戸の農家で、約1170ヘクタールの受托をおこない、集落を越えて、旧村単位で農業経営に従事している。山形県の場合とは異って、個別農家の自立性と、集落としての完結性が弱いために、集落を単位とした生産組織ではなく、それを越えた生産組織が形成されているのである。農業情勢の困難化のなかで、どのような再編成がおこなわれるかが課題となっている。
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