1999 Fiscal Year Annual Research Report
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10610285
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
森川 潤 広島修道大学, 人文学部, 教授 (20136021)
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Keywords | ドイツ大学 / 学籍登録者名簿 / 日本人留学生 / 明治期 / 明治十四年の政変 / ドイツへの傾斜 / 青木周蔵 / 井上毅 |
Research Abstract |
平成11年度には、第1に、前年度にひきつづき、ドイツ大学の学籍登録者名簿からピックアップした日本人留学生について、姓名を照合確定し、個々の留学生の出発年月、姓名(出身地・生没年)、留学前の経歴、留学の動機・目的、派遣、専攻、修学過程、ドイツ滞在中の状況、帰国後の経歴などについて調査した。第2に、ドイツ大学の学籍登録者名簿の欠落した部分の補充につとめた。ただし、当該大学の学籍登録者名簿さえ散逸している場合が少なくなく、しかも名簿を保管する部門が移転中であったり、名簿の破損を修復中であったりしたために、大きな成果はみられなかった。第3に、「ドイツへの傾斜」が進行する契機となる明治十四年の政変にいたる過程における人的ネット・ワークの形成についても調査した。長州藩閥の総帥木戸孝允とのあいだで、いわゆるドイツ・コネクションを形成した明治初年のドイツ留学生青木周蔵だけでなく、明治十四年政変の舞台裏を演出した井上毅に着目した。明治五年、岩倉使節の司法省理事官随員としてフランスに派遣された井上は、翌年、青木などが修学するドイツに視察旅行にでかけ、その法律、政治制度に魅了される。青木などの明治初年のドイツ留学生が「ドイツへの傾斜」の基盤を用意したとすれば、井上はプロイセン欽定憲法をモデルとした立憲君主制への移行に尽力し、「ドイツへの傾斜」を決定づけたということができる。
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