1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610362
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松浦 章 関西大学, 文学部, 教授 (70121895)
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Keywords | 水運 / 内河 / 航運 / 帆船 / 蘇州 / 大運河 / 長江 |
Research Abstract |
「清代における内河航運史の研究」の初年度の成果として清代における全国的に重要な商業地であった蘇州を取り上げ、蘇州に集散する船舶に着目しその活動を考察した。 蘇州は大運河による水運によって各地からの船舶が来航した。特に長江流域、大運河流域の地から来航する船舶が多数を占めていたが数量的には明らかでない。この蘇州の水運の動向を示唆してくれるのが蘇州近郊に設けられた大運河に位置する税関の滸墅関である。滸墅関は大運河に位置して北は無錫・常州・丹陽・鎮江を経て長江水域に、さらに北の大運河に、南は呉江縣・嘉興府等を経て大運河の終点である浙江省の杭州へと連なる要衝の地に位置していた。滸墅関の通関収入の多寡は大運河によって北方から来航する船舶が積載する米・豆などの主に穀物類、南方からは紬布などの主に加工物資の積載量に関係した。しかし、北方からの穀物類は毎年の価格、換言すれば各地の豊区に影響された。滸墅関の商品流通上の位置は、蘇州と言う大規模市場を抱え蘇州城内に流入する物資の調整口的存在であった。たとえば江西省産の米穀は長江水域から鎮江を経由して大運河に入り滸墅関を通過し、そして蘇州の米穀市場を経由して上海や浙江省の乍浦まで運河を利用して輸送され、そこで沿海の海船に積み替えて福建方面の福州・興化・泉州等地へ輸送されていた。このことは一例に過ぎないが蘇州及び滸墅関は長江流域と大運河との水運における調整口として重要な役割を担っていた。清代の蘇州を中心とする水運に利用されていた帆船は30余種類が知られる。また18世紀中頃には蘇州近郊の滸墅関を通関した帆船は1年に12万余隻に達していたことが档案資料から明らかにすることができた。
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Research Products
(1 results)