1999 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ近世領邦都市の統治構造-中間権力の観点からの絶対主義論-
Project/Area Number |
10610377
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神寶 秀夫 九州大学, 文学部, 教授 (90118331)
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Keywords | ドイツ / 近世 / 領邦都市 / 自由都市 / 中間権力 / 絶対主義 / ツンフト-平民闘争 / 貴族 |
Research Abstract |
研究課題「ドイツ近世領邦都市の統治構造-中間権力の観点からの絶対主義論-」の達成のため、本年度は、(i)「中世段階での諸中間権力間の抗争」と(ii)「初期近世段階での都市住民層の編成」を解明することに努めた。これまでの先行研究と史料分析を通して得られた主要な知見は、以下の通りである。 1)ツンフト-平民闘争の目的・成果は単にツンフトによる都市参事会の議席獲得だけでなく、その他に、 (1)経済的・身分的基盤を保証する諸特権を都市君主から賦与されていた都市門閥の勢力を削減することにより、都市参事会の自律性を大きく高めること、 (2)ツンフトを都市参事会員の選出・被選出母体とすること、 (3)都市参事会員になり得ない一般のツンフト親方による共同統治権の獲得、があったのである。 2)近世都市の空間的な構成単位は、中世以来の「小教区」(マインツ市では主要なものは7個)であった。 (1)雑貨商、仕立匠、靴匠等の例外を除き、多くの職種の手工業者は特定の小教区に定住し続けている。 (2)全般的な住民数増加にも拘らず、小教区間に不均等発展が見られる。 (3)中世には殆ど定住していなかった貴族が近世にはマインツ市住民の約1%を占め、選定候統治府の官職ポストの少なくとも1/4を占めるに至っており、当市は「宮廷都市」としての性格を強めている。
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