2000 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ近世領邦都市の統治構造-中間権力の観点からの絶対主義論-
Project/Area Number |
10610377
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神寳 秀夫 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (90118331)
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Keywords | ドイツ / 近世 / 領邦都市 / 自由都市 / 中間権力 / 絶対主義 / 官僚制 / 官職ヒエラルヒー |
Research Abstract |
この三年間、科学研究費補助金の交付を得て、領邦都市マインツの統治構造を考察し、「中間権力」の観点から近世ドイツ絶対主義の特質を論究してきた。本年はその最後の年度に当たり、主として「君主制的統治機構」の解明に努め、中間権力の観点からの絶対主義論に関して、最終的に以下の結論に至ることができた。 領邦都市段階の当市の統治構造は、市民の誠実宣誓をまって大司教支配権が成立し得るという、前近代的な二元主義の特質を有していた。しかし、固有の身分制国家段階はすでに過去のものであって、市民の臣民としての服従義務が前面に出ているのである。市民の一定程度の自律性を保証する都市参事会及び兄弟団も、一方においては確かに「中間権力」としての性格をなおも維持しているものの、他方では、その性格も、都市参事会における参事会員の「終身制」、兄弟団の集会における同意権と「口伝の法」に関係した場合の裁判権・規約制定権にしか見て取れないほどに、制約されていた。兄弟団を、政治権力を制約された「社会的団体」と規定することができる所に、政治的権利と社会的権利(=営業独占権)との分離の一定の進展が認められ得るのである。以上のことから、近世(領邦)都市は、完全な「中間権力」の態をなしていた中世都市と「公法上の地方団体」である近代都市との間に位置する、独自の都市類型と把握することができるのである。そして、宮廷都市における中間権力の機能は、中世に比較し、限定的であったのである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 神寳秀夫: "ドイツ絶対主義時代の法形態と立法目的"(共著)近代法の再定法(創文社). 5-35,220-225 (2001)
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[Publications] 神寳秀夫: "ドイツ領邦絶対主義形成過程における中間的諸権力(中一〜)"史淵. 138(未定in press). (2001)
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[Publications] 神寳秀夫: "(書評)池谷文夫著『ドイツ中世後期の政治と政治思想』(刀水書房)"史学雑誌. 110-2. 122-131 (2001)
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[Publications] 神寳秀夫: "(書評)西川洋一著「一三世紀の君主立法権概念に関するノート」(1)〜(3・完)"法制史研究. 50. 364-370 (2001)
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[Publications] 神寳秀夫: "(共著)近代法の再定位"創文社. 312 (2001)