1998 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化の時代における市民社会論の展開--欧州・北米・日本の比較研究--
Project/Area Number |
10620078
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
千葉 眞 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10171943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 敦 法政大学, 法学部, 教授 (30154470)
飯田 文雄 神戸大学, 法学部, 助教授 (70184356)
斎藤 純一 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (60205648)
川崎 修 立教大学, 法学部, 教授 (80143353)
松本 礼二 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30013022)
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Keywords | グローバル化 / 新しい社会運動 / 新しい政治 / 市民社会 / 市民的公共性 / 社会資本 / デモクラシー |
Research Abstract |
本研究は、「日本政治学会」が、「ヨーロッパ政治学会」(ECPR)との国際交流企画との関連で、政治理論部会を設置し、そこでの共同研究(主題は「グローバル化の時代における市民社会論の展開ーー欧州・北米・日本の比較研究ーー)に基づいて展開された。第一年目にあたる本年は、われわれ日本側の6名のグループから3名の者が、平成10年9月末にデンマークで開催されたECPR研究会に参加し、それぞれペーパーを発表し、ヨーロッパ側の参加者のコメントを受け、幅広く討議を行った。大きな収穫があり、この時のペーパーを踏まえた中間報告が、近くヨーロッパの政治学関係のジャーナルに掲載される予定である。この共同研究は、4年目をめどに英文での共同出版を考えているが、善いスタートがきられたと考えている。 国内でも、本年度は研究会を6回ほど開催し、そのつど主題を設定して議論や討議を重ね、また国内外から講師を招いて御報告をしていただき、討議を重ねてきた。本年度は、これらの共同研究を通じていくつかの確認や発見がなされたが、その三点のみを挙げておけば、以下の通りである。 1 最近の市民社会論には、さまざまな類型があり、たとえば10年前の東欧革命を彩った国家敵対型市民社会論と現在の北米でなされている「社会資本」の概念を中心にした国家親和型市民社会論とは大幅に異なる。 2 市民社会の概念自体、長大な概念史的背景を有しており、それもあって多義的で曖昧であり、一義的な定義を許さない側面がある。 3 内田義彦や平田清明らによって主導された戦後日本の市民社会論は、「新しい市民社会論」とは重なる面と異なる面の双方を有している。戦後日本の状況に批判的に切り込もうとする点、またマルクス主義的な立場からの市民社会論を志向する点で、後者とも連動する面があり、もう一度、再評価していく必要がある。
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[Publications] 斎藤純一: "「丸山眞男における多元化のエートス」" 『思想』. 883号. 4-25 (1998)
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[Publications] 川崎 修: "『アレント』" 講談社, 394 (1998)