2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本経済の成長過程における技術革新と構造転換に関する実証的・理論的研究
Project/Area Number |
10630009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻 正次 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (90029918)
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Keywords | 構造変化 / 工作機械工業 / 電気通信産業 / マルチメディア / 接続料金 / プライス・キャップ規制 / ユニバーサル・サービス / 遠隔医療 |
Research Abstract |
研究の3年目である平成12年度では、日本経済の構造変化を、情報技術(IT)について行った。特に、IT革命の基盤となる情報通信インフラの整備と、ITのビジネスや生活へのアップリケーションとからなる。前者については、これまでの光ファイバー整備のあり方について、競争および非競争の枠組みで総括した。日本の場合、情報通信インフラの整備は、両者のバランスの上に築かれている。これが他の諸国との大きな相違である。民間企業、第三セクター、地方自治体を主体とする様々なネットワークが構築され、これをいかに相互に接続していくことが重要であり、これが実現できると世界に先駆けてFTTH(Fiber to the home)の夢が実現できる。 さらに、ITのビジネスや生活へアプリケーションについては、とくに移動端末の利用によるビジネスモデル、あるいは次世代のインターネット・プロトコルであるIPv6の実現により、情報家電等が新しい産業として成長することになる。そのためには、電気通信産業における新しい規制緩和や競争政策が必要であり、例えばプライス・キャップ制の導入の意義や問題点を検討した。さらに、接続ルールやユニバーサル・サービス・ファンドの導入が、日本経済与える影響を実証的に分析した。さらに、遠隔医療に用いる医療機器の技術革新が与える日本の医療費の削減効果、さらには遠隔医療の一般的な経済効果をWTP(Willingness to pay)の手法によって実証的に推計した。しかし、このような医療面で技術革新が日本経済により大きな影響を与えるには、より広範な普及が前提となる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 辻正次,田岡文夫,手嶋正章: "情報技術・教育改革と遠隔教育-日米の実地調査から-"情報通信学会誌. 第17巻3号. 109-123 (2000)
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[Publications] 辻正次,田岡文夫,手嶋正章: "高齢化社会における医療・保健・介護でのネットワークの構築と連携"生活経済学研究. 第16巻. 243-252 (2001)
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[Publications] Masatsugu Tsuji,Sanford V.Berg,Michael G.Politt: "Private Initiatives in Infrastructure:Priorities,Incentives,and Performance"Institute of Developing Economies. 395 (2000)
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[Publications] Mitsuhiro Kagami,Masatsugu Tsuji: "Privatization,Deregulation and Economic Efficiency"Edward Elgar. 302 (2000)