1998 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノビームを用いたニュートリノ原子核反応の研究
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10640252
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 好孝 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (50272521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 康雄 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (60272522)
福田 善之 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (40272520)
中畑 雅行 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (70192672)
梶田 隆章 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (40185773)
鈴木 洋一郎 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (70144425)
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Keywords | ニュートリノ振動 / 水チェレンコフ装置 / 粒素子 / ニュートリノ質量 |
Research Abstract |
本年度では主に1キロトン水チェレンコフ検出器の建設を行なった。本年度始めより神岡において、読みだし電子回路の試験、光電子増倍管のゲイン更正、また、高エネルギー加速器研究機構(以下KEKと略)においてもタンクの移設、純水装置の建設等、建設作業の前準備を進めた。10月からはKEKにおいて、本格的建設作業を開始し、約2か月間で860本の光電子増倍管の取り付けを完了した。翌年2月には純水の注入を完了し、宇宙線によるテストを行なった。同月13、14日には、KEKにおいて始めてのニュートリノビーム照射がテストが行なわれ、ニュートリノ反応の検出に成功した。3月現在、ニュートリノ振動実験開始に伴い、本格的にニュートリノビームの照射を受け、毎日順調にニュートリノ反応を検出し続けている。現在は、ニュートリノビームを使った検出器の調整段階であるが、すでに当初の予想どうりの性能をあげており、純水の透過率としては約30m、宇宙線μ粒子のバックグランドとして約0.1以下、ノイズに起因するバックグラウンドトリガーも皆無であり、本番に既に十分な性能を上げていることが分かった。また解析プログラムにおいても、スーパーカミオカンデで使用されているものが、ほほそのまま使用することができるので、既に、ニュートリノ反応位置同定が可能な状態になっており、3月のニュートリノビームの調整に於いて重要な役割を果たしている。一方、地上でのビーム実験という特性にあわせ、現有の電子回路の高速化に加えて、光電子増倍管の信号波形を記録するトランジェントデジタイザーが導入された。このおかげで多事象の識別を容易に行なうことができるようになった。またこれを用いて、ニュートリノビームのマイクロパンチ構造の確認に成功した。これにより、多事象識別のみならず、ニュートロン等に起因するバックグラウンド事象識別に大きな可能性を見出すことができた。
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