2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640293
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
萩原 薫 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50189461)
|
Keywords | 超対称性模型 / 輻射補正 / CP非保存 / リニアコライダー / 光子リニアコライダー / 精密実験 |
Research Abstract |
平成13年2月に新しいミューオン異常磁気能率の実験結果が発表された。その結果と標準模型の予言との有意のずれが、超対称性粒子の輻射効果であると仮定して、最新の電弱精密実験の結果との整合性を検討した。輻射過程に現れる荷電超対称ゲージフェルミオンがウィノとヒッグシノとの混合状態であるときに、特に整合性が高いという新しい知見を得、結果を論文として発表した。この結果は超対称性粒子の初めての明瞭な証拠の可能性があるので、標準模型の予言の更なる精密な評価が緊急の課題であると判断し、英国ダラム大学のマーティン教授等との共同研究を開始した。平成13年11月には、標準模型の予言の一部に誤りが発見され、実験結果とのずれが減少した。今年中にミューオン異常磁気能率の実験結果の更なる更新が予定されており、標準模型の予言の精査に関する国際共同研究を継続することを決断した。我々の新しい結果は本年7月をめどに、国際会議講演、投稿論文として発表する予定である。 2.超対称性模型の輻射効果として最も期待される、CP対称性を破るヒッグスボソンの混合を測定する最も有効な実験が、将来のリニアコライダーを発展させた、光子リニアコライダーによって可能となる。欧州の光子リニアコライダー検討グループとの共同研究として、この新しいタイプのコライダーによる理論物理探索の総合報告を論文として発表した。 3.超対称性標準模型に現れるCP非保存の位相の効果を取り入れた有効ヒッグスポテンシャルを用いて、e^+e^-→ΖΗ^0_1過程の超対称性模型による輻射補性の計算を完成させた。平成13年10月、北京の精華大学で開催されたACFA主催の「リニアコライダーの物理国際会議」で中間報告を行った。現在投稿論文を準備中。 4.e^+e^-→W^+W^-過程の超対称性模型による輻射補性に関し、クォーク、レプトンの超対称性パートナーの寄与の計算に論文続き、ゲージ、ヒッグスの超対称性パートナーの寄与の計算を完成させた。現在、荷電超対称粒子の敷居エネルギー付近での輻射補正の大きさ、CP非保存なWボソン結合の大きさ等を評価し、投稿論文を準備中。
|
-
[Publications] K.Hagiwara 他: "Gold-plated processes at photon cdliders"Nucl. Iustrum. Meth.. A472. 100-120 (2001)
-
[Publications] K.Hagiwara 他: "Higgs boson decays in the minimal super symmetric standard model"Phys. Rev.. D64. 032004 (2001)
-
[Publications] K.Hagiwara 他: "Super symmetric contributions to muong-2"Phys. Lett.. B514. 123-130 (2001)